マンション銀座歩行者天国

Mrs.タエコのマンションライフ


長男の寮生活スタート
狭く感じた3LDKが とても広く感じて

 春だなと思ったら、嵐と共に寒い日が、再び訪れたりもしましたが、着実に春はやって来ました。桜の便りも届く頃となりました。
 我が家の長男は、そんな春の嵐の最中に、あわただしく、大学の寮へと旅立って行きました。高校3年間で打ち込んだ水泳で、全国大会まで行ったものの、まだまだ満足する結果は出せなかったので、さらなる飛躍のための第一歩を踏み出したのです。
 そんな訳で、高校を卒業し3年間過ごした水泳部の寮から、マンションへ帰って久し振りに家族四人で暮らしたのは、3週間程でした。その3週間も、小学生の頃から世話になっていたスイミングクラブへ練習に行ったり、大学では自炊になるので、そのための準備をしたりで、瞬く間に過ぎて行きました。
 再び長男が居なくなった家は、同じ3LDKのままなのに、とても広くなった気がします。3週間前に帰った時は、とても狭く感じるほど、存在が大きく、4人家族でぶつかり合いながら、暮らしていたのに、と思います。急に静かになったようで、1人居なくなってだけなのに、とても淋しくなりました。
 思えば、高校の3年間も居なかったのに、3週間で4人家族だってことを実感してしまったからでしょう。狭い子供部屋に、兄と重なり合うように眠り、兄が弟の勉強を見てくれたり、弟は兄にケンカを売って、仕返しされたり、夫婦ケンカに参加してみたり、とても賑やかに過ごしたのです。
 出発の朝、あなたが居てくれると毎日、楽しいから行かないでね! と言ってみたのですが、そんな事ありえないから! と言い返されてしまいました。彼の心の中では、家族の暖かさも大切なのでしょうが、追い掛けている夢の方が、もっともっと大きくて大切なんだなと逞しさに感動しました。
 親として私が出来ることは、この3LDKのマンションの1室を、彼が夢を追うのに疲れた時、安らげる場所にしておくことなのです。

(集合住宅管理新聞「アメニティ」2010年4月号掲載)
【つづく】