マンション銀座歩行者天国

7.川井郁子さん

ヴァイオリン♪

 日本フィルハーモニー交響楽団と川井郁子さんのコラボレーションを聴きました。JR東海のCM「仁和寺編」のバックの流麗なヴァイオリンを弾いているのが彼女です。指揮はピアニストでもある渡邊一正さん。
 彼女が作曲した、「オーロラ」「ミスティ・フォレスト」も演奏されました。G線の音を太くしっかりと掴まえて、深淵を辿るかのような響きをもたらしたかと思うと、今度は最高音を澄んだ空気の中を飛ぶように美しく響かせるという、ヴァイオリンってこんなに表現力があるんですよというように、ヴァイオリニストだからわかっている、この楽器の響きの特長を最大限に引き出した曲、そして演奏でした。

静的と動的♪

 モンティ作曲の「チャールダッシュ」は、速く弾くという、サーカスもどきの演奏が受けるわけですが、「オーロラ」「ミスティ・フォレスト」が情緒的で内面的であるとするならば、この曲はスピード感にあふれ、動的で外面的な音楽といえます。この曲もヴァイオリンの特長を十分に引き出しています。
 この日のヴァイオリンの曲は、相反する曲をそろえた豪華版とも言え、ヴァイオリン教室といった側面もありました。彼女が使っているヴァイオリンは、1715年製作のアントニオ・ストラディヴァリウス。名器はそれを操る技量があってこそのものですが、彼女にはその資格が十分にあること示した演奏会でした。(服部 伸一 エッセイスト・写真家)


集合住宅管理新聞アメニティ335号 (2010年8月号掲載)