マンション銀座歩行者天国

25.音のない曲

ジョン・ケージ♪

 アメリカが生んだ作曲家、詩人、思想家、キノコ研究家などマルチな才能を発揮したジョン・ケージは1912年9月5日生まれで、今年は生誕100年、没後10年です。彼は音楽の定義を根底から覆しましたことでも有名です。音があるから「音楽」というのが、音楽の定義でした(今もそうですが)。しかし彼は、沈黙も音楽だとし、無音の音楽を作曲(?)したのです。I 「TACET」 II「TACET」 III「TACET」という構成です。楽章を通して休止することを示すTACETは、オーケストラにおいては、特定のパート譜に用いられるのですが、この曲では全楽章にわたって示されており、演奏者はステージに出たあと、何もせずに過ごし、一定の時間が経過すると退場します。

4分33秒♪

 それぞれの楽章の所要時間は演奏者の自由となっており、楽器は、ピアノでもヴァイオリンでも何でもよいのです。その合計所要時間を、この曲の曲名とすることとなっています。初演は1952年8月、米国で、ピアニストのデイヴィッド・チューダーによって演奏されました。このとき、チューダーは、第1楽章を33秒、第2楽章を2分40秒、第3楽章を1分20秒で演奏し、その合計時間4分33秒が、この曲の通称となっています。この曲は、演奏会場内外のさまざまなノイズ、会場のざわめきなどを聴くものとされています。チューダーによる初演後も、コンサートで「演奏」されることがあり、無音のCDも存在します。(服部 伸一 エッセイスト・写真家)


集合住宅管理新聞アメニティ353号 (2012年2月号掲載)