マンション銀座歩行者天国

38.由起さおり

世界に羽ばたいた歌謡曲♪

 日本人歌手は、海外アーティストとコラボレーションアルバムを制作しますが、発売先は日本のみという場合がほとんど。また、カーネギーホールなどを借りてコンサートを催す例はありますが、海外ツアーの催行は、あまり例がありませんでした。しかし、由紀さおりはアメリカのジャズアンサンブル“ピンクマルティーニ”のボーカルとして海外を巡ったのです。
 彼女を見出したのはピンクマルティーニの中心にいるピアニストのトーマス・ローダーデール。レコード・ショップで、偶然手にした由紀さおりのレコードを聴き、彼女の声に注目。それが各国のツアーとアルバムの制作につながっていきました。そのアルバムPINK MARTINE&SAORI YUKI1969≠ヘ、由紀さおりの魅力がたっぷり。歌謡曲という日本独得のジャンルが世界に羽ばたいたのです。



響きに厚みと透明感♪

 声は良いが、響きに欠け声量もないという歌手もいますが、彼女の声の特徴は声のよさに加え、響きがよいことです。特に大きな声を出すわけではないのですが、とても響きがよく、しかも心地よいのです。
 その声が、世界各地で聴く人たちを魅了したのです。彼女の声の響きは倍音≠ェ普通の人よりも多くあることにより、声に透明感があるのに厚みのある響きです。「夜明けのスキャット」は、それらのよさが現れている歌ですから、今度彼女の歌を聴くときにはそのあたりに注目をして聴くと理解が深まるはずです。
(服部 伸一 エッセイスト・写真家)


集合住宅管理新聞アメニティ368号 (2013年5月号掲載)