マンション銀座歩行者天国

40.田端 義夫

年季の入ったギター♪

 バタやんの愛称で親しまれていた田端義夫さんが4月25日、94歳という高齢で天寿を全うされました。昭和13年「島の船唄」でデビュー以来、15年「別れ船」、21年「かえり船」、25年「たより船」、25年「月の出船」、25年「夜船の女」、29年「おちょろ船」、29年「君待船」、30年「親子舟唄」と船シリーズ或いはマドロスシリーズと言われた数々をヒットさせました。独得の、哀愁と切々とした唄い方は、聴く者にやさしく訴えかけてくれました。彼のスタイルと言えば、「オース!」と客席に向っての掛け声と水平に抱えて弾くギターでしょうか。アメリカ製のギターは年季が入り、見た目にも擦れていてかなり傷んでいましたが、それを大切にしている様子が印象的でした。



1200曲を録音♪

 彼の歌の中でも37年「島育ち」、50年「十九の春」は、とくに興味深い歌です。それらは彼が自ら発掘した沖縄の俗謡歌です。歌詞に込められている感情を抑えつつ、しかもその核心を伝えながら、歌を育て、大切に歌い続けました。
 1979年、旅行でラスベガスに行った時にスロットで29万ドル(6400万)を当て、日米で話題になったことがありますが、大部分は税金などになり、手元にはさほど残らなかったということでした。録音した曲は1200曲におよびます。長期にわたる現役生活を物語るにふさわしい実力の現われではないでしょうか。天国でもギターを抱えて周囲を感動させているに違いありません。
(服部 伸一 エッセイスト・写真家)


集合住宅管理新聞アメニティ371号 (2013年8月号掲載)