マンション銀座歩行者天国

43.やなせたかし

アンパンマン♪

 1998年放送開始した「それゆけ!アンパンマン」は、国内のみならず海外でもヒットしています。アンパンマンは正義の味方です。バイキン星からやって来たバイキンマンからのイタズラにあうのですが、アンパンマンは決して手荒な事はせず、むしろやさしくいたわるように対します。アンパンマンのそのような正義は、作者の戦争体験からきていると言います。「本当の正義の味方は、まず飢えている人を救うことからはじめなければならない」と作者は語っていました。アンパンマンはお腹の空いた子どもたちに自らの顔をちぎって分け与え、自分自身も傷つくのです。声高に叫ぶ正義とは異なる価値観と言えます。



手のひらを太陽に♪

 「それゆけ!アンパンマン」のマーチが耳に残っています。元気よく前に向かって進むイメージがあります。もうひとつ筆者が好きなのは、彼が作詞をした「手のひらを太陽に」です。この歌は生きていくことの賛歌ですが、「僕らはみんな生きている〜真っ赤に流れる僕の血潮」という詩の真の意味は、「偽善の正義ではない生き方を、みんなできるんだよ」「血の通った、相手を思いやることのできる正義を貫きませんか」とのメッセージであり、「アンパンマン」と「手のひらを太陽に」には芯の部分で繋がっているのではないかと気づきました。それらの作者、やなせたかしさんは多くのキャラクターと新しい正義の価値観を残し、10月13日94歳で天国に旅立ちました。
(服部 伸一 エッセイスト・写真家)


集合住宅管理新聞アメニティ374号 (2013年11月号掲載)