マンション銀座歩行者天国

47.音楽の偽装

売り込み上手の偽作曲家♪

 全聾で被曝二世との触れ込みの作曲家A氏は、交響曲第1番「HIROSHIMA」は「原爆の闇と自分の苦と言う闇を重ね合わせて作曲した」とし、CDはクラシックとしては異例の18万枚が売れたそうです。ところが、実際に作曲をしたB氏が現れ「元々、別のタイトルで、原爆とは無関係」と発言。18年間で20曲程をA氏に提供していたことも明らかにしました。聴覚障害に関しては、2月12日早朝、A氏自筆の「お詫び」がマスコミ各社に届けられ、「3年前から聞こえるようになっていた」と言い、「売名行為」であったことも併せて認めました。



音楽を聴かず、包装を聴く♪

 オーケストラ対象の作曲には、高度な音楽的感性と音楽的技術が欠かせず、さらに音楽的創造性も必須です。「絶対音感」の持ち主であるとも喧伝していましたが、それは創作活動とは直接には関係ありません。
 なぜ、Aさんの曲(実際はBさんの曲)は受け入れられたのか、です。作曲者の背景やストーリーを重視した聴衆が、そんな人が作った曲だから聴く価値が高いとの先入観や、自分自身を納得させる気持ちがもたらしたのではないでしょうか。誰が、どのような状況で作曲したかを知りたい気持ちは分からなくはありません。しかし、もっと原初的に純粋に、音楽そのものを聴く態度を私たちは持たなければならないことを学んだのだと思います。
(服部 伸一 エッセイスト・写真家)


集合住宅管理新聞アメニティ378号 (2014年3月号掲載)