マンション銀座歩行者天国

54.歌詞の持っているチカラ

歌詞に込めるメッセージ♪

 歌詞には「どうだ!」とばかりに、メッセージを詰め込んだものがあり、3.11以降は、「もっと頑張ろう」「明日には希望がある」と言ったメッセージを意識した歌詞が生まれています。8月号で紹介した「花は咲く」も、NHKの東日本大震災復興支援ソングとして毎日放送され、教育的、偽善的な雰囲気。もちろん、被災された皆さんを勇気づけるための特別な歌があってもよいとも思います。同じ歌詞でも、立場によってその解釈や感情は様々。前回「ふるさと」を紹介しましたが、その歌詞には「不快感すら感じてきた」という読者からのお便りをいただきました。わかるような気もします。一方、高野辰之の履歴を知り、誕生地に身を置くと、その詞の世界に純粋に浸れます。



吉田山田♪

 ここのところ評判が高まっているのがNHKのみんなのうたで、吉田山田というデュオが唄った「日々」。吉田山田というユニットは彼らの本名で、神戸出身の吉田結威さんと東京出身の山田義孝さんの30歳ほどの若者です。山田さんの幼いころ両親は共稼ぎで、彼は近所の老夫婦に可愛がられていたそうです。そのときに見た老夫婦のほんわかとしたぬくもり、やさしさといったシーンが脳裏に刻まれ、感じたことを熟成させて歌詞にしています。英雄伝でもなく、明日には希望があると声高に言うのでもなく、どこにでもいる夫婦のよくあるシーンですが、聴き手の心を少しだけ揺すり、それぞれが自分のこととして感謝を感じることができます。ぜひとも聴いてほしい歌です。
(服部 伸一 エッセイスト・写真家)


集合住宅管理新聞アメニティ385号 (2014年10月号掲載)