マンション銀座歩行者天国

62.アナログ・レコードの復権

手回し式蓄音機♪

 レコードで印象に残っているのは、小学一年生になり、「かもめの水兵さん」を振りつけた遊戯を体験したときです。可搬型の蓄音機で、横に付いているハンドルを回してゼンマイを絞り込みます。「かもめーのすいへいさん」と始めはよいのですが、後半になるとレコードの回転が徐々に減速してしまい音程がどんどん下がっていきます。先生があわててハンドルを回します。レコードの回転は元に戻り、「かもめーのすいへいさん」も、元気になっていきます。そのような体験をした読者は多いのではないでしょうか。アナログ・レコードの強い印象はそれが初めてでした。


選択は賢明に♪

 その時代から半世紀以上たった現代、デジタル化が浸透し、音楽を持ち歩くことが可能となりました。ところが、昨今レコード盤を購入して、それを聴くことが、一部の人たちのトレンドになっています。アナログ・レコードの復権です。デジタルは音を間引いて記録しています。記録していないはずの音も聴こえているように人間の耳は騙されているのですが、アナログのレコードはすべての音を記録しており、音楽の奥行きや滑らかさなど、その良さを実感できるのです。便利になった分、失ったこともあり、そのバランスを自分自身で問いながら選択をするという、賢明さが必要になっています。


(服部 伸一 エッセイスト・写真家)


集合住宅管理新聞アメニティ394号 (2015年7月号掲載)