マンション銀座歩行者天国

69.山田 耕作 生誕130年

「赤とんぼ」は日本人の原風景♪

 赤とんぼ(作詞:三木露風)や砂山(作詞:北原白秋)を作曲した山田耕筰は、1886(明治19)年6月9日生まれで、今年は生誕130年です。「夕焼け小焼けの赤とんぼ」という、三木露風の詞に描かれているのは、私たちの原風景の一つで、多くの人々にそれぞれの郷愁を呼び覚ます、日本の共有財産のような価値を感じます。その詞を金銀財宝などよりも、比べ物にならないくらいの宝物というに相応しいメロディーこそ、いつまでも歌い継がれる一曲ではないかと思うのが、山田耕筰が作曲した「赤とんぼ」です。この曲を聴くと、体内に沁みこんでいた絵画のような世界が浮かび上がってくるのです。


どちらの「砂山」が好きですか!♪

 「砂山」は、新潟市の寄居浜海岸に立った北原白秋の詞です。荒波によって浸食された海岸は少し切り立っています。中山晋平に作曲を依頼しました。よく歌われているのはこの曲で、新潟寄居浜の冬の荒海というよりは、夏の海のような感じになっています。山田耕筰は、おそらくそれに違和感を感じたのでしょう。
 冬の新潟市は天候の変化が著しく、曇っている時の空の鉛色は、重苦しく、海岸の波はその存在を見せつけるように力任せに打ち寄せ、海岸を削り、断崖のような海岸に強くぶつかり、その波しぶきが高く、強い風とともに、観ている者に容赦なく襲ってきます。
 そういう情景を、山田耕筰作曲のメロディーは表現しています。


(服部 伸一 エッセイスト・写真家)


集合住宅管理新聞アメニティ401号 (2016年2月号掲載)