マンション銀座歩行者天国

75.戻ってきたクラリネット

クラリネットは♪

 3ヶ月ほど前、吹奏楽を教えていたK君に偶然会いました。K君はクラリネットを40年余吹き続けているとのことです。最近、プロに教えを請い、練習を繰り返しているそうで、随分と頑張っていると感じました。発表の場があり、春はジャズ、秋にはクラシックを演奏していて、モーツァルトのクラリネット協奏曲を取り上げたと、誇らしげに話しました。
 ジャズとクラシックでは、クラリネットの種類が異なり、ジャズや吹奏楽ではB♭(ベー)管。クラシックではA(アー)管を使用します。
 クラリネットは、菅の内径が細く、管が長いのでサックスと比べると演奏が難しいのですが、音域が3オクターブ、音色は豊かで膨らみを感じさせ、とても魅力のある楽器です。


音楽を通した再会の喜び♪

 K君は、筆者が譲ったB♭管を返したいと言い、以前からそのことを伝えたかったと言いました。一度譲ったものを返してもらうのもなんだか変な感じでしたが、承知をしました。50年近くも昔の楽器ですから、傷みがあるので、専門の修理屋さんに直してもらうことにし、後日、受け取りました。35年ぶりくらいの再会でしょうか。K君の楽器と筆者への想いと、良質な黒檀の質感たっぷりのクラリネットを見て、改めて人の出会いを大切にしておいてよかったと感じました。K君が筆者に会ったということを、同輩に連絡をしたことで、別の数人とも後日会う機会もあり、それぞれ素敵な人生を歩んでいることを知りました。音楽を通じて知りあった仲間たちが、長い月日が空いても再会できる喜びに浸りました。


(服部 伸一 エッセイスト・写真家)


集合住宅管理新聞アメニティ409号 (2016年10月号掲載)