マンション銀座歩行者天国

79.偉大な二人のエピソード

小澤征爾さん♪

 クラシックの音楽家は、ステージでは曲に合った表情や態度を醸し出していますが、スポーツが好きだったり、多趣味の人、趣味というより、その道のプロのような極め方が半端ではない人もいます。音楽を極める姿勢が趣味や生き方にまで反映しているようです。
 小澤征爾さんは若かりし頃、ラグビーとピアノに明け暮れていた時期がありました。ラグビーの練習中、ピアニストとして致命的な指の怪我をし、指揮者を目指すことになりました。この場合、マエストロ小澤さんの存在は、その怪我のおかげ?とも言えるのです。私たちが、彼のオーケストラを導く指揮の才能に感銘できるのは、まさに怪我の巧妙なのです。


山本直純さん!

 ヒゲ面で有名だった指揮者で作曲家の山本直純さんは、音感を期待されて、軍に招かれ、遠くからやってくる米軍の爆撃機の機種を、聞き分けられるか試されたそうです。しかし、子供の音感はあてにならないという結果になり、クビになったそうです。もちろん、本当はその程度の音の聞き分けは簡単なのですが、戦争中のことで食糧事情が悪く、試聴の後のおやつが欲しくて、いい加減に答えていたのです。
 子供の音感を頼るような戦争。勝てるわけがなかったのも当然でしょう。彼が、戦争終結を早めたのかもしれません。


(服部 伸一 エッセイスト・写真家)


集合住宅管理新聞アメニティ413号 (2017年2月号掲載)