マンション銀座歩行者天国

82.サクソフォン

ジャズもクラシックも♪

 サクソフォンはこの20年くらい、人気のある楽器になっているようです。街や電車の中でサクソフォンとわかる楽器ケースを持っている男女をよく見かけます。サクソフォンというとジャズを奏でる楽器と思われているようです。ジャズは聴衆を興奮させ、陶酔させるために極端な音を必要とする。その要求を満たすのに、物理的に衝撃音を出せるサクソフォンが適しているから、ということを言う人もいます。発明者のアドルフ・サックスは、クラシックで用いられることをサクソフォンに企図していたようです。しかし、一つの楽器がジャズにもクラシックにも使えるというのは、とても面白いことであると感じます。とはいえ、その奏法はまるで180度の違いがあります。クラシックでは音色を大切にし、衝撃音は厳禁です。


大室勇一さん♪

 よく耳にするのはどうしてもジャズやポピュラーを演奏しているサクソフォンですから、クラシックの奏法を聴くと、その音色美、滑らかさなどに、きっと驚くと思います。サクソフォン奏者の須川展也さんを、以前本コラムで紹介しました。彼が人気に火をつけたのではないかと思いますが、彼は東京藝術大学在学中、大室勇一氏に師事していました。大室さんこそが日本のクラシック・サクソフォンの最初の音楽家であり、その理論的構築が後世に伝えられて、今のサクソフォン人気に繋がっています。彼の音は今でも耳の奥に残っていますが、47歳と言う若さで逝ってしまったのは、今から29年も前のこと。彼の弟子たちが、今、国内外で活躍しています。


(服部 伸一 エッセイスト・写真家)


集合住宅管理新聞アメニティ416号 (2017年5月号掲載)