オリーヴオイルを旅する

2.旅のしたく/六千年の旅路

 いまなお内戦の混乱が続く中東・シリア。
 古代オリエントの時代、イラク、パレスチナ、レバノン、イスラエル、そしてシリアを含むチグリス川、ユーフラテス川の流域一帯は肥沃な三日月地帯≠ニ呼ばれていました。



 地球の寒冷期が終わり、一万一千年前には、この地で農耕が発生したと推定されています。世界で最も古い歴史を持つ土地と言われ、紀元前12世紀に遡るこの地に、オリーヴの起源があったと考えられています。もっともこのオリーヴは野生種で、土着の固有種によって本格的な栽培が始まったのはおよそ六千年前と言われます。その後、長い歴史を経てギリシャ、アナトリア、エジプト、エチオピアなどを通り、地中海地域一帯に広がっていきました。いま、わたしたちが食すオリーヴオイルが、この長い旅路を経て食卓にたどり着いたことを想像すると、歴史のロマンさえ感じられます。
 さて、大雑把な歴史の予備知識のあとは、世界でもっとも愛されて止まない食材と言っても言い過ぎではないオリーヴオイル。次号では、オリーヴオイルを選ぶときに、ぜひ知っておきたいカテゴリー(種類)についてお話します。
 オリーヴオイルは国際基準に従って九つのカテゴリーに分けられています。オリーヴオイルの魅力は何と言っても生のままで味わう「感応特性」にあります。というわけで、そのまま食用に適するものの代表格とも言えるエクストラヴァージン・オリーヴオイルを中心に、その魅力に迫ります。(M)

(2014年5月号掲載)