オリーヴオイルを旅する

9.「美食の宝庫」秋のピエモンテから

 イタリア語で山の麓≠意味するピエモンテは、かのアルプスの山々とイタリア半島を縦に貫くアペニン山脈に囲まれたフランスとスイスに国境を接するイタリアの北西部に位置します。州都トリノは、そう、荒川静香さんがフィギュアスケートで日本人はじめての金メダルを手にしたトリノオリンピックの開催地として有名です。先ごろこの地で2年にいちどの世界的な食の祭典「サローネ・デル・グスト」が開かれました。ここに出展する企業・団体の数は、イタリア国内は勿論、世界各地から今年は1300に迫り、入場者は、5日間でなんと22万人を超えます。じつはこの催し、世界的な食の均一化に警鐘を鳴らし、独自の食文化や産品に光をあて、絶滅の危機に瀕する世界各地の食材を発掘、保護しようという、スローフード運動の推進母体である国際スローフード協会が中心となり始められたもので、ことしが9回目の開催となりました。この運動の発祥の地・ブラは、トリノに近い同じピエモンテ州にあります。




 ところで、この祭典の特筆すべきは、世界各地で育まれた独自の食文化を尊重しその地域で伝統的に作られてきた産品を守り育てることが可能になる環境を整えていくという、食の将来を見据えているところにあります。それ故、出展される食材や食品は農産、畜産、水産などあらゆるジャンルに及び、普段目にすることのない希少で伝統的な地域の産品が並びます。このシリーズの主役であるオリーヴオイルは、ここでも圧倒的な存在感を誇っていました。
 いまオリーヴオイルを旅する%r中、次回は、この催しの雰囲気に触れながら、70を超える生産者が味を競っていたエキストラバージン・オリーヴオイルの特徴などについて触れたいと思います。(M)

(2014年12月号掲載)