オリーヴオイルを旅する

10.良いオリーブオイルはなぜ高い?

 前号でご紹介した世界的な食の祭典「サローネ・デル・グスト」には、現地イタリアはもとより世界のオリーヴオイル生産国からも希少な製品が多数出品されていました。まさに地中海型食生活≠フ基本食材としての面目躍如というところでしょうか。



「サローネ・デル・グスト」に出品された食材

 さて、世界に一千種、イタリアだけでも三百種あるいは四百種以上あるとも言われるオリーヴ、それを100%原料とする、とりわけ良質なエキストラバージン・オリーヴオイルの価格は他の食用油に比べて、なぜ高いのでしょうか?ひとつの答えは収穫≠ニ製造法≠ノあります。オリーヴの収穫方法には伝統的な手摘みと近年増加してきた機械式があります。オリーヴは果実です。どちらの方法によるとしてもデリケートな果実の収穫にはコストがかかります。収穫期を迎えたオリーヴは、同地域での同時的な収穫作業が求められます。加えて搾油所の少なさと収穫時期の集中化の関係がネックともなります。手摘みによる人件費の増大や機械式の設備投資なども大きな負担です。また、収穫後は倍加すると言われる酸化の速度を考慮すると、収穫後24時間以内が理想的とされる搾油のタイミングの維持が極めて重要になります。これはエキストラバージンの酸度規定(0.8%以下)を満たす上で欠かせないプロセスです。さらには、細かく規定されたEU圏や自国の製造基準と品質基準の遵守は法的な側面だけでなく消費者の信頼獲得には不可欠な条件でもあります。健康なからだの維持に、さまざまな貢献をしてくれるいわば食用油の優等生、エキストラバージン・オリーヴオイル、その誕生は、それなりの価格を生じさせる有益な価値≠ニいう対価を産みだすこととなる訳です。今年はオリーヴ不作の年、価格への転嫁が少ないことを祈るばかりです。(M)

(2015年1月号掲載)