オリーヴオイルを旅する

18.オリーブ・クライシス

◆オリーヴが危ない!

 記録的な酷暑を経験したことしの夏。いくつかご紹介したオリーヴオイルと食材のマリアージュ、少しはお役に立ちましたでしょうか?さて、今回は旅の歩みを少し止めて。





 2014、15収穫年、オリーヴは不作にあたる年と本稿8号で触れました。しかし、そうした予測をはるかに超える事態が起こっているようです。全加盟国合計で世界のおよそ97%の生産量を占める国際オリーヴ協会の発表によれば、この期の生産量は前期に比べて約30%減のおよそ230万トンであったとしています。その主な要因として、スペイン、イタリアという2大生産地の大減産という事情が関わっています。例年、この2か国で世界のおよそ70%を生産するオリーヴオイルですが、2014年夏、スペインは大変な旱魃(かんばつ)に見舞われました。一方イタリアでは、オリーヴミバエの蔓延と、最大の生産地であるプーリア州の南部で、ピアス病菌(*注)という細菌によってオリーヴの木が大量に枯死するという事態に直面しました。感染拡大を防ぐために、樹齢数百年の古木を含む数千本のオリーヴの木を伐採、焼却しなければならないといった過酷な試練が立ちはだかりました。ピアス病菌への効果的な対処法は、いまだ確立されておらず、イタリアのみならずEU(ヨーロッパ連合)全体での対応が引き続き急がれている状況とのことです。


◆オリーヴオイルの高騰は不可避?

 こうした状況下、スペインのオリーヴオイルの生産者価格は前期に比べて63%、イタリアは55%といずれも大幅な上昇を見せています。しばらくはストックでの対応があるにせよ、消費者価格高騰への影響は避けられる状況ではないようです。こうなると、おのずと2015・16年収穫期に期待がかかります。さて、こんなとき、大切になるのが市場での真正な商品の見極めです。100%のエキストラバージン・オリーヴオイル≠ナあることを目安に、成分表示などもしっかり確かめて購入されることをお勧めします。(M)



 (*注)「ピアス病菌」学名:Xylella fastidiosa発見者ピアス博士より命名。ヨコバイなどの害虫がバクテリアを媒介して感染させるといわれる。

(2015年9月号掲載)