オリーヴオイルを旅する

29.オリーヴオイルが支える/『地中海型(健康)食生活』(3)

◆トランス脂肪酸て、なに?◆
 前号では、脂質を摂るなら不飽和脂肪酸にシフト、と書きました。これは、不飽和脂肪酸でもシス型と呼ばれるオレイン酸によって、健全な脂質が得られるエキストラバージン・オリーヴオイルを想定してのことでした。
 今回のテーマのトランス脂肪酸も同じ不飽和脂肪酸なのですが、化学的には「トランス型の二重結合を有する不飽和脂肪酸」を総称して、べつに分類されます。ところが、これが、じつは体にとってはかなり脅威の存在なのです。ひとつの具体例として、トランス脂肪酸の過剰な摂取は悪玉コレステロールを増やす一方で、善玉コレステロールを減らしてしまいます。その結果、肥満や虚血性心疾患などの引きがねとなってしまうということが解っています。では、どうすればその過剰な摂取を抑えることができるのでしょうか?


◆身近な食品に脅威が潜む◆
 マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングがトランス脂肪酸を多く含むご三家のように言われます。つまりこれらの食材やこれらを原料として作られた食品(パン、ケーキ、ドーナツ、クッキーなどの洋菓子類、スナック菓子、生クリームなど)の摂取を可能な限り抑えることが有効となります。
 トランス脂肪酸は自然界では牛や山羊など反すう動物の体内微生物によって生成されるものを除けば、大部分は人工的な副産物としてつくり出されます。液状の不飽和脂肪酸の植物油に水素を添加して硬化させ、マーガリンやショートニングなど硬化油をつくる過程で生成されます。
 トランス脂肪酸摂取の懸念が拡がるなか、近年、一部の食品メーカーやファストフード店などではトランス脂肪酸の低減や代替え技術の開発など自主的な取り組みも進めていますが、国もメーカーなどの自主的な成分表示に期待するだけで、欧米諸国のように、使用の規制や抑制施策をとっていません。いまのところ、消費者側が厳しい選択眼を持つことが肝要ということでしょう。(M)




(2016年9月号掲載)