オリーヴオイルを旅する

30.黄金のトライアングル/〜トマトとオリーヴオイル編〜その一

 カラダに良いエキストラバージン・オリーヴオイルの話はひとまず置いて、季節は食欲・味覚の秋、そろそろ、おいしいお話に切り替えましょう。地中海型食生活の象徴ともいうべき、イタリアの基本食材と言えばオリーヴオイル、小麦粉(パスタ)、そしてトマト。称して『黄金のトライアングル』とも呼ばれ、それぞれ黄金の液体、黄金の穂、そして黄金のリンゴに例えられます。つまり、このトリオに備わる相性の良さを表現していると言えます。そこで今回と次回にわたって、知られざるトマトの秘密と、そして黄金仲間が奏でる絶妙なハーモニー、地中海型食事の基本レシピともいうべき自家製トマトソース″りにチャレンジします。その前に、まずは、トマトはどこからきたかを辿ります。


◆トマトは元は観葉植物だった?◆
 イタリア語でトマトはポモドーロ≠ニ呼ばれ、じつはラテン語から派生しています。ポモ(Pomo)はリンゴ、ドーロ(d’Oro)は黄金を表わし、ずばり黄金のリンゴとなります。トマトがリンゴ?イタリアにはもともとトマトはありませんでした。南米・ペルーやメキシコが原産と言われるトマトは、コロンブスによる新大陸発見以降、ポルトガル人やスペイン人によってイタリアにもたらされたと言われます。生育したその実は文字どおり黄金色≠ナあったと。しかし、当時のイタリア人はそれを食用の果実とは受け容れなかったようです。ヨーロッパには麻酔性や毒性などによって忌み嫌われた同じナス科に属するマンドラゴラという植物があり、トマトがこれによく似ていたためのとばっちりであったようです。
 しかし、緑色から熟すと黄金に染まる果実から、当初は専ら観賞用として珍重されたようです。世界には、1000種類以上のトマトがあり、イタリアだけでもおよそ300種が流通するというトマト。次回、オリーヴオイルとの出会いが待ち遠しい限り。(M)




(2016年10月号掲載)