オリーヴオイルを旅する

37.“本物・良質”を見分ける!(その2)〜知られざるテイスターの世界〜

 先号では、真正なオリーヴオイルとテイスターの優れた五感の関係について触れました。少し脇道にそれますが、今回は、そのテイスターの知られざる世界をのぞいてみましょう。


◆エキストラバージン、素養の基本は、純正・品質・特性◆

 オリーヴオイル最大の生産圏EUを中心に、バージンオリーヴオイルの品質と純正さは、さまざまな法規によって守られています。まず第一に混じり気のないこと(純正)、次いで製品に曇りのないこと(品質)、そして典型的であること(特性)の三つがバージンオリーヴオイルに備わるべき素養とされます。抽象的で少々わかりにくいかもしれませんが、じつはこの基準にしたがってテイスターたちは、世に出るオリーヴオイルを見張っています。一切の化学的処理を行なわず、オリーヴから絞られたままの最上級のオリーヴオイル≠アう定義づけられるエキストラバージン・オリーヴオイルの検査は、とりわけて厳密と言われます。 


◆「嗅ぐ」・「感じる」官能検査◆
 バージン・オリーヴオイルの素養の判定には、感覚的特性検査(官能検査)が、最も重視されます。こうした特性を見極めるには、たゆまぬ訓練と研鑽が必要です。たとえばイタリアには、「テイスター機構」というのがあって、専門的な技術を学んだり、教育に携わる人を育んだりしています。つまり、テイスターには、真正なバージン・オリーヴオイルへの信頼という砦を守るという誠実さと、豊かな感性が求められている訳です。彼らのテイスティングは、まず「嗅ぐ」ことから始まります。はじめに国際基準に沿ったテイスティング用グラスに注がれたサンプルオイルを、ゆっくりと深く息をしながら30秒以内で嗅ぎ分け、評価を行ないます。これが嗅覚による検査です。次いで、口腔内における感覚の検査に移ります。約3mlのオイルを口に含み、オイルを喉に至る口腔全体にいきわたらせることによって、嗅覚、味覚、触覚など、全体の感応を検査します。ここで、苦みや辛み、渋みや甘さなど、全体のバランスを利き分け、製品への判定を下すことになります。  次号では、真正なオリーヴオイルを世に出すために、検査に臨むテイスターに課せられた厳しい条件に迫ります。  (M)


(2017年5月号掲載)