オリーヴオイルを旅する

43.『新物で始まるオリーヴオイルの季節』〜良質なオリーヴオイルの造られかた(3)〜

◆そろそろ“新物”が出回るころ◆

 ワインと同じように、エキストラバージン・オリーヴオイルにも新物=ノヴェッロ(イタリア語で新しいの意)が市場に出回ります。早摘みの搾りたて、フィルターで濾さない、見た目は濁りがあるオリーヴオイルです。通常のエキストラバージン・オリーヴオイルは、搾油後、遠心分離機にかけられ、濾過(ろか)されて、品質の安定化と酸化を防止する目的で、窒素と接触させステンレスタンクに貯蔵されます。ノヴェッロはこの濾過、貯蔵のプロセスを通りません。つまり、それだけ日持ちもしないため、限られた時期でしか流通されないのです。店頭などで見かけたら、一度、味わってみてはいかがでしょうか。
 さて、ここからは前号の続き、オリーヴオイル仕上げのプロセスをご紹介します。


◆丁寧な工程が、よいオイルをつくる◆

 前号で「撹拌(かくはん)」の工程を経たオリーヴ果実は、つぎに油分を固形分(オリーヴの果皮や種、果肉などから成る)と切り離すための「搾油(さくゆ)」の工程へと進みます。多くはデカンターと呼ばれる高速回転の遠心分離機により、比重差を利用した方法で分離させます。分離した油分を暫らく休ませるとともに、固形の残留物を沈殿させ取り除くため、「静置(せいち)」という工程を経ます。静置によって透明になったオリーヴオイルは、通常、他の品種と「調合」(ブレンド)され、味や風味が整えられます。以前ご紹介しましたが、この調合のカギを握るのが、研ぎ澄まされた五感を必要とするテイスターの存在という訳です。さて、この段階でもオイルには微細な固形分が残っています。これを除去するのがフィルタリングと呼ばれる「濾過(ろか)」の作業です。この過程を経てはじめて、出荷が可能な製品としての条件が整います。そして、冒頭にご紹介したタンクに貯蔵、保存されたエキストラバージン・オリーヴオイルは、その後、出荷量ごとに瓶詰めされて、わたしたちの食卓に届けられる時を待つのです。<M>


(2017年11月号掲載)