オリーヴオイルを旅する

50.その選択、間違ってませんか?A〜「原産国」表示の“謎”を解く〜

 わたしたちの食卓に上るオリーヴオイルのほとんどが国外からの輸入に依存していることは、このシリーズでもすでに触れてきました。そんな中、市場には産地の偽装や粗悪な紛い物の輸入オリーヴオイルも多く出回っている事実にも筆者なりに警鐘を鳴らしてきました。しかし、世界的に見ても厳しいと言われる食品輸入の審査基準を持つわが国において、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?今回は、わたしたちが商品購入の際、ひとつの目安としている「表示」の“謎”について考えます。


◆食の安全を担保する関係法律◆

 通常、海外から輸入される食品の安全は、有害な植物の国内流通を防ぐ「植物検疫法」、家畜などの伝染病の侵入を水際で防ぐ「家畜伝染病予防法」など、おおむね3つの国内法によって担保され流通の可否が決められます。その最も基本で、重要なのが「食品衛生法」です。この法律の意図するところはズバリ“安全な食品”の流通です。原材料の安全性、製造方法、有害な添加物の有無などがこれによってチェックされます。では、厳格な基準をパスしたはずの輸入食品に、なぜ産地偽装や紛い物が市場に出回るのでしょうか?


◆原産国は必ずしも原料の原産地ではない◆

 わたしたちが食品を購入するとき、一つの決め手としているのが“食品表示”でしょう。そして輸入食品の場合、最も気になるのが“原産国”の表示ではないでしょうか。安全性が疑われる国からの食品は避けたい。逆に評価の安定している国からのものは、受け入れ易いというのが心情です。さて、この原産国表示は“最終加工地”を示すもので、必ずしも原材料の原産国を示すものではないのです。これは、日本国内でも同じ考え方です。イタリアのオリーヴオイルを例にとれば、原産国・イタリアと表記されていても実は輸入原材料をイタリアで最終加工したものかもしれないのです。最近では国内製造された食品では原料原産地(国)を表記することが義務化されつつありますが、輸入食品にはこの義務がないのです。作り手の良心に頼らざるを得ませんが、詳しい情報は、製造国で表記した。”元”の食品表示でも精査したい。 <M>



(2018年6月号掲載)