オリーヴオイルを旅する

54.〜オーガニックを極める〜その二『有機は地球を救う?』

 そもそも、「オーガニック=有機」はいつごろから意識されるようになったのだろうか、とくにオリーヴにおいてはどうだったのか?その起源を6000年前に遡るともされる時代、そのころ発祥したオリーヴ栽培に、化学肥料や農薬が使われていたとは考えにくい。そこにあったのは、ひたすら自然を味方として、ひとはその摂理のなかで食を得ていたと考えられるから。つまり、そこには有機という概念すらなかっただろうから。


◆それは近代農業を契機に始まった◆

 かつて、アメリカやヨーロッパで“狂騒の20年代”と呼ばれる時代があった。それはかの世界大恐慌の予兆でもあったのだが。第一次世界大戦による人、モノの莫大な損失から社会の再建を目指す大きなうねりが起こった。そのうねりの中、大量生産、大量消費という社会の要請を受けて、農業は劇的な興隆を遂げた。それを可能にしたのが、大量の化学肥料や農薬の投入であった。


◆弊害にいち早く気づいた人々◆

 しかし、その弊害にいち早く気づいた有機農業の実践者たちがポーランドにいた。その霊的な予言能力にヒトラーも恐れたと言われ、日本でもシュタイナー教育として知られるアドルフ・シュタイナーも加わった農業運動の先駆者たちである。“有機農業の国連”とも呼ばれる『IFОАМ』(国際有機農業運動連盟)は、これらの人々と時代を”パイオニア“”パイオニアの時代“と呼ぶ。オーガニックが人々に認知・拡大してゆく幕開けの時代であった。その後1965年、米国で農薬DDТの危険をきっかけとした化学肥料、農薬使用に対する反対運動が起こり、有機農業の推進機運が高まる契機となった。


◆オーガニックは、まだニッチ?◆

 しかし健康志向を背景に安全、安心が売りのオーガニック、有機オリーヴオイルの生産比率が高いイタリアでさえ、全農耕地面積に占める有機の耕地は8%、わが国においてはたったの0・22%、まだまだニッチの有機である。次号は、良いのになぜ伸びないの?を探る。 <M>


(2018年10月号掲載)