工事事例

築36年公団分譲の大規模修繕工事

 永山3丁目第二住宅(東京・多摩市)

工事見学会があった永山3丁目第二住宅
工事見学会があった
永山3丁目第二住宅

6月24日NPO日住協主催による工事見学会がありました。工事は8月末頃までの予定ですが工事の内容を設計・監理者にご執筆いただきました。

【建物概要】
永山3丁目第二住宅は、永山駅から徒歩12〜15分程に立地する閑静な住環境の公団(現、UR都市機構)分譲団地で'71年に建てられ、現在築36年で今回は3回目の大規模修繕工事となる。地上5階建(階段室型)全8棟、総戸数210戸。スキップや雁行はなくフラットな形状の同タイプで構成される。周囲には別管理の団地や、UR都市機構の賃貸団地が隣接する。当団地は隣棟間隔にも余裕があり、施工しやすい立地といえる。


【専門委員会発足からコンサルタント選定まで】
平成17年9月に、第3回大規模修繕工事の修繕委員会が発足して、第3回大規模修繕工事に向けて立ち上がった。建物の劣化状態が顕著で、特に鉄部については塗膜剥離や発錆が随所で見られ、また、北側外壁面のひび割れが目立つ状況であった。既に、大規模修繕の時期に達しているというのは誰の目でみても明らかな状況で、組合内部でも勉強会をして工事に向けてスタートを切った。今回はコンサルタント選定を一般公募して決定することになり設計事務所の募集を行った。書類、見積等で1次選定を行い、更に2次選定では、1次選定通過会社によるプレゼンテーションを実施して、総合評価の結果、株式会社三衛建築設計事務所が採用されることとなった。


【劣化調査診断から設計までの検討】
平成18年3月末から3ヶ月の期間で建物調査診断を実施。外観でも劣化が顕著な状態であったので、調査診断の大きなテーマは塗膜引張試験で、外壁塗装の塗り重ねが可能かどうかを判定することであった。結果としては塗膜の付着は良好であり、今回は全面剥離ではなく、脆弱部のみを剥がし、全体的には塗り重ねとすることになった。中性化については、この年代の建物の傾向として、付けおくりのモルタルが厚いため、比較的中性化は進行してないという結果であった。設計段階での、大きな検討事項は北側外壁のひび割れに対しての対策で、防水型弾性塗料の採用まで視野に入れ検討したが、結果的には、躯体に打継ぎ目地を新設することで、塗装仕様としては一般的な微弾性主材に超低汚染シリコントップとなった。

階段入り口のバリューアップも一つの検討課題であった。提案段階ではCGを作成してイメージを管理組合にわかりやすく伝えるようにし、十分に議論をして仕様決定となった。階段室は現状劣化状態が顕著であったこともあり、今回の改修でインパクトを与える部分でもあり、錆だらけのノンスリップを撤去して階段床は塩ビシート貼り、照明器具は既存の逆富士蛍光灯を撤去、カバー付電球色の蛍光灯器具に更新とし、機能的効果と視覚的効果の両立を図った。

鉄部については、ケレン及び錆止めを入念に行うように、仕様を策定した。バルコニー防水は階段同様に塩ビシート貼り(溝はウレタン)とした。妻壁のタイル改修については、設計段階では一般的な補修という選択をしたが、後に施工段階でこの部分を全面貼り替えと設計変更することとなった。 尚、屋上防水については診断の結果、状況がそれほど悪くないため、今回は保護塗装という選択になった。

【施工業者選定】
工事業者選定は、まず見積依頼候補会社を一定の基準を設定した上で、公募により募った。応募は15社で、その中から書類審査で5社に見積依頼することになった。見積書の内容を精査し委員会で審議をして2次選定を行い、2社に絞った。3次選定では2次選定通過の2社にヒアリングを実施し、その後、委員会にて審議して1社を内定とし、2月4日臨時総会で建設塗装工業株式会社を施工会社として決定した。

((株)三衛建築設計事務所・大沼秀弥)

〈主な工事項目及び仕様〉
(1)外壁修繕工事    
躯体補修については劣化が顕著なこともあり、グレードの高い仕様とした。モルタル 浮きについては、注入口アンカーピン工法、ひび割れ補修は、弾性発泡エポキシ樹 脂注入工法を仕様に選定した。但し、妻タイル壁については、施工段階で既存タイル全面撤去の上、タイル新設に設計変更とした。
(2)外壁塗装工事 微弾性主材+超汚染シリコントップ
(3)鉄部塗装   下地が悪いことで、重防食用厚膜型塗料(ウレタントップ)を採用
(4)シーリング工事   ノンブリード型ポリウレタンシーリングに更新
(5)バルコニー・階段防水   塩ビシート貼り(側溝はウレタン)
(6)その他工事
  A.階段室照明器具取替え(カバー付電球色蛍光灯)
  B.階段室入口改修床タイル貼り、仕切り壁新設、ポスト取替え、その他仕上げの グレードアップ等

<アメニティ新聞299号 2007年8月掲載記事>