工事事例

1回目の大規模修繕における改善工事−フォルスコート浅草隅田公園

 下町ブームに沸く浅草の繁華街にほど近く、隅田川沿いに建つ「フォルスコート浅草隅田公園」は、東京スカイツリーを望む絶景スポットにあり、周囲の通りは観光客が絶えない。地下1階、地上14階で全43戸、薄茶系の全面タイル貼りで、その名の通り隅田川沿いに建つ人気のマンションである。平成9年(1997年)11月竣工で経年16年となるが、本年1月より大規模修繕の工事に着手、6月に予定通り竣工した。



道路正面外観


 昨年(平成24年)3月より調査診断を開始し、その結果を「建物調査診断結果概要報告書」にして6月に全戸に配布すると共に大規模修繕工事の設計作業に入った。設計の内容は1回/月程度の修繕委員会で検討・打合せを重ね、慎重に進めた。工事業者の選定は、本紙アメニティなどの公募により集まった工事業者17社の内から6社を書類選考して見積依頼した。見積書の金額だけではなく内容を詳細に検討して3社にヒアリングする事とした。現場監督予定者を中心に施工や安全面・居住者対応等について詳細なヒアリングの結果、最終的に(株)大和を選定することとなった。
 11月に臨時総会を開催して工事実施についての承認を得、12月には工事説明会で工事上の安全や注意事項、オプション工事について周知、翌25年の1月15日から工事に入った。最近のマンションは外壁タイル貼りが多い反面タイル製造業者が減少し、色彩調整や納期的にも補修用タイルの制作に苦労する場合が多い。今回は色彩・テクスチャー共に非常に良好で、早々と決定することが出来、タイルの現場搬入も順調に進んだ。工事期間中は「浅草流鏑馬」や「三社祭」などがあり、常時観光客が往来する中で現場監督の采配により、事故も無く順調に予定通り完了した。
 本工事ではいくつかの改善工事を行っているが、今回の特徴として、サブエントランス廻りの改善事例を紹介する。当マンションには正面のメインエントランスとは別にエレベーター近くにサブエントランスが設けてあるが、階段にも近く動線的にも便利なので殆どの居住者がこれを利用している。さらに2階の自転車置場にエレベーターを使って自転車を上げ下ろしするには、このサブエントランスを利用するしかない。一方、このサブエントランスの扉は窓の無い目隠しの外開きで、開く際に外の人にぶつかる危険があった。さらに、鍵で扉を開ける際には両手が必要で、荷物や傘を持つときや自転車の出し入れには非常に不便であった。これらの改善は住民アンケートの要望でも多く、長年の懸案事項であった。種々検討の結果、これを半自動の軽いアルミ製引戸に取替え、開口幅も出来るだけ広げ、鍵の開閉も片手で軽く出来る形式のものに改善した。又、庇を設け、引戸にはパンチングメタルを使用して向こう側の人の気配が分かるものとし、安全で便利な出入り口となった。その他、駐輪ラックを横スライド式のものに取り替えて、女性や子供にも使い易いものとしたり、バルコニー垂直避難経路のフェンス避難扉の新設、エレベーター出入口枠の傷対策や階段手摺りの新設などの改善策が実施され、いずれも居住者に好評であった。
 ここまで事故やトラブルも無く、良質な工事が順調に完成したのは、工事を担当した(株)大和現場担当者の技量と努力によるものではあるが、調査開始から工事完了まで約1年半の間、毎月1回以上の専門委員会で夜遅くまで審議し、時には工事状況確認のために危険な足場にも上がった大規模修繕委員会委員の尽力が無ければ出来なかったことである。又、工事期間中の不便や騒音・臭気・塵埃などに耐え、工事に御協力いただいた居住者の皆様には感謝するものである。(マンション・ユニオン保全設計協同組合/担当(有)柴田建築設計事務所:柴田幸夫)



ラックの買換えで整然となった自転車置場



改善されたサブエントランス

「設計・監理=マンション・ユニオン保全設計協同組合/有限会社柴田建築設計事務所、施工=株式会社大和」


(2013年10月号掲載)