工事事例

 千葉ニュータウンの都心に一番近い北総線西白井駅から十分程にある大山口住宅は、旧日本住宅公団が昭和55・56年に分譲した団地である。全体には緑が多く、築後30数年間に樹木が豊かに成長し、夏には緑の陰影を形づくり、秋には黄金色の紅葉を見せ、居住者に豊かな安らぎを与えている。これら自然の豊富な環境の中、3街区にまたがる659戸・33棟の居住棟からなる団地の2回目の大規模修繕工事は、昨年の9月に着工して本年6月に完了した。
   大山口住宅管理組合における業務は、平成21年10月からの調査診断・長期修繕計画の策定に始まる。その後、台所系排水管補修工事の設計監理を経て、今回の大規模修繕工事の終了まで、ほぼ4年間になる。この間、管理組合の委員会と毎月1回の打ち合わせを綿密に行いながら作業を進めてきた。大規模修繕工事の具体的な設計作業は平成23年10月から始まった。長期修繕計画において設定された工事項目の詳細な検討を行い、居住者からの要望などを加味して仕様書を纏め、数量積算・設計見積書を作成した。
 工事業者の選定は、本紙アメニティなどの公募により応募のあった工事業者の中から6社を書類選考して見積依頼した。見積書の金額だけではなく内容を詳細に検討して4社にヒアリングする事としたのは、提示金額だけではなく内容的にも優劣の差が少なくこれ以上は絞りきれなかったからであった。さらに検討中であった屋上防水などを追加して再見積の上、現場監督予定者を中心に施工や安全面・居住者対応等について詳細なヒアリングの結果、最終的にフジミビルサービス(株)を選定し、7月末開催の臨時総会にて承認を得た。



塗膜が剥がれたバルコニースラブの見付面


◆4工区に分け合理的作業

 8月下旬には近隣の小学校の体育館で工事説明会を開催し、工事内容と安全面における注意事項やバルコニーの片付け・オプション工事等について周知をし、9月から工事に着手した。
 工事は、33棟の居住棟と管理棟・給水棟を4つの工区に分け、それぞれ2カ月程工程をずらして施工している。これは足場仮設材を次の工区へ転用するためで、同程度の規模の建物へ転用出来るよう工区分けしたものである。1つの工区内では3棟同時に着手し、足場架設が終了する1週間後に次の3棟に着手する、というように職人が無駄なく合理的に作業できるよう工程を組んでいる。着工当初は思い通りにはうまく行かず、遅れ気味ではあったが、しばらくすると要領を得て順調に進むようになった。




足場から検査中の管理組合委員


◆多種類住宅で施工に苦労

 居住棟は階段室型の壁構造で、1棟を除いた全てが5階建てであるが、他の団地と比較してタイプ・種類が多い。RC造が4タイプ8種類、PC造が3タイプ9種類となっており、施工的には苦労する面も多かった。既存の外壁塗装において塗膜付着力が大きく不足し、高圧洗浄の仕様を変更してケレンを主体としなければならない住棟が見つかり、チェック・対策・組合との協議などに忙殺される時期もあったが、管理組合側の適切な協力も有り、概ね順調に出来たと思われる。


◆慎重に進めた色彩計画

 前回の大規模修繕において一部批判されていた色彩については、慎重に進める事とした。事前に管理組合と種々10案を作成・検討し、ツートンカラーの2案にした上で、居住者へのアンケートに配慮して、街区毎に分けて決定した。
 今回の工事で最も目立って良くなったとの評判は、階段室の床仕上げである。コンクリートのヒビや破損・発錆鉄筋の露出などと共に著しい汚れや水溜まりが多く美観を損ねていたが、これを階段用のビニールシート貼りとし、端部は塗膜防水を施した。1階エントランス部分はタイル貼りとし、グレードアップを図った。
 今回のような大きな団地の大規模修繕工事が順調に終了できたのは、管理組合の委員会はじめ理事会と多くの居住者のご協力の賜物と感謝する次第です。  




階段室床仕上げのビニールシート貼り


「設計・監理=マンション・ユニオン保全設計協同組合/担当:(有)柴田建築設計事務所、施工=フジミビルサービス株式会社」


(2013年12月号掲載)