工事事例

 日商岩井国立マンションは、鉄骨鉄筋コンクリート造・11階建で、学園都市国立市としては最初の高層マンションで、最寄り駅は南部線矢川駅近傍の便利な場所に位置する。専有部分として、128戸の住戸と分譲ガレージ・トランクルーム、国立市が所有する集会所がある。昭和48年の竣工で、今回の大規模修繕工事着工時(平成24年)には経年39年となっていた。管理組合による熱心な維持保全活動の結果、経年数の割には全体の劣化程度は比較的良好であった。しかし、給水設備と洗面・浴室系雑排水管との劣化が進行して改修が必要になってきた事と前回大規模修繕工事から12年を経過する事を鑑みて、これらの工事を同時に実施する事とした。


 平成21年10月より調査診断を開始して平成22年3月完了、基本設計は同年9月に開始して平成23年1月完了、引続き実施設計を同年の6月に終了した。当初の予定では、平成23年9月着工であったが、3月11日の東日本大震災による建築業界の混乱を避けるため1年延期し、平成24年9月着工する事となった。当時の建築改修業界の状況を振り返ると、これは適切な判断であった。おかげで着工後は順調に進行し、年内の12月末までに設備工事を、翌25年7月までに建築関係の大規模修繕工事を予定通り完了した。  給水設備工事は、共用給水管と揚水ポンプ・高置水槽の更新を行った。受水槽については基礎コンクリート躯体を利用したピット式で、衛生安全上問題があり現法令上は許されない形態であったため、受水槽を廃止して本管からの直結式に変換した。高置水槽は万が一の災害時の余裕として、新しいものに更新して残す事とした。共用排水管のうち、台所系については平成14年に更新しているので、今回は洗面・浴室系を更新する事となった。給水・排水管ともメインの立管は開放廊下に面したPS内に配管されている。PSの手前には給水・ガスのメーターがあり、さらに物入ボックスが組み込まれたスチール扉が取り付けられており、そのままの状態では奥の給水・排水管の取り替えは無理であった。しかもこのスチール扉の劣化が著しく、物入ボックスが腐食して破損している箇所も多く、脱着再使用は不可能であった。従って、このスチール扉を物入ボックスを含めて、撤去更新する事とした。同時に外壁塗装などの大規模修繕を同時に実施する事でスムースで綺麗に施工する事が出来た。



PS扉更新


 大規模修繕工事としては3回目となる今回の工事では、通常の外壁・鉄部等塗装塗替えや屋上・バルコニー・開放廊下の防水等の一般的工事の他、アルミサッシの更新とエントランスホール内装の全面的改修を行った。アルミサッシは、劣化の著しいバルコニー出入り口と雨掛り窓について、カヴァー工法で更新したが、硝子は省エネに配慮して複層ガラスを使用した。エントランスホールの内装については、従来の雰囲気から大きくイメージチェンジするものとなった。従来の床タイルは滑り易かった事から新規に貼り替える事とし、数色のタイルによりアクセントを付けた。壁は自然石調塗装シートを貼り、天井も全て更新し、エレベーター三方枠・扉も化粧シート貼りとした。美観を損ねていた大きな電話盤(MDF)の扉の表面を化粧して、掲示板として使える様に改造した。



   
エントランスホール                          アルミサッシ更新


 1年近くの長い工事期間中事故やトラブルも無く、順調に完成したのは、工事を担当した(株)シミズ・ビルライフケア現場担当者の力によるものではあるが、調査開始から工事完了までの間、毎月1回以上の委員会で審議し、工事中は危険な足場にも登り熱心に活動した長期修繕委員会各位の尽力によるところが大きい。又、工事期間中の騒音や不便に耐え、工事に御協力いただいた居住者の皆様には感謝する次第です。




日商岩井国立マンション


「設計・監理=マンション・ユニオン保全設計協同組合(担当:有限会社柴田建築設計事務所、施工=株式会社シミズ・ビルライフケア」


(2014年3月号掲載)