大規模修繕工事5年後に屋根から漏水発生、修繕委員会は解散し、理事会で補修したがまだ漏水は止まりません。どうすればよいか。(2010年10月号掲載)

築20年目のマンションです。屋根防水工事を含む第1回目の大規模修繕工事を、修繕委員会を立ち上げ、設計・監理方式で5年前に実施しましたが、屋根からと思われる漏水が発生しました。

大規模修繕工事後、修繕委員会は活動していません。理事会では、防水業者に依頼し、補修を行いましたが、漏水は止まりませんでした。

漏水してから3カ月が経過し、居住者が「早く補修してほしい」とイライラしています。尚、大規模修繕工事の施工会社は倒産していますが、屋根防水保証書(10年間)は、防水専門業者及び材料メーカーの連名保証になっています。今後どのように対処したらよいでしょうか。

 

雨漏りなどは場当たりに補修すると、その原因もつきとめられず、一時的に漏水が止まっても再発するケースが多く見られます。そのため、漏水原因等の調査が必要です。

調査は、大規模修繕工事のコンサルタントや屋根防水保証書に記載されている防水専門業者・材料メーカーに要請し、漏水している住戸の居住者の協力の元で行います。

原因調査は室内の壁や天井仕上材を撤去して漏水箇所を特定し、どのような気象状況で(降雨量・風向き等)漏水するか、又原因と想定される箇所はどこかを目視や散水試験をして調査します。

調査の結果、屋根防水が原因の場合は、防水保証の内容を確認し、防水専門業者・材料メーカー・コンサルタントと協議し、具体的な補修範囲・方法を決定し、補修を行います。補修後、再度散水テストを行い且つ、一定期間降雨時の状況を観察して、再度漏水が発生しないか確認を行います。

大規模修繕工事の際に修繕委員会を理事会の諮問機関として設置し、工事完了後、修繕委員会を解散・活動停止している事例が見られますが、工事完了後不具合が発生することがあり、これらの対処と次回の大規模修繕工事に向けて管理組合として経験を蓄積するために、修繕委員が活動を続けることが肝要です。

回答者:NPO日住協協力技術者
一級建築士 近藤武志
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2010年10月号掲載)

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