巨大地震でエキスパンション・ジョイント金物が破損補修と取替え、どちらにしたらよいのか?(2011年4月号掲載)


 東日本大震災で、開放廊下床・壁のエキスパンション・ジョイント金物のズレや、スチール製手摺のエキスパンション・ジョイント金物がコンクリート手摺壁に当たったことによる、コンクリートの破損やひび割れが見られます。外壁の金物やコンクリート破損部が落下すると危険な箇所は、撤去しました。地震による不具合部を補修するか、新しいものに改修するか、どちらにしたらよいのでしょうか。また、なぜこのような金物が取り付けられているのでしょうか。


 東日本大震災で、マンションの被害として多いのは、エキスパンション・ジョイント金物の破損・ズレであると思われます。

 横に長い建物やL字型の建物では、温度変化による伸縮や、地震によるゆがみで無理な力が部分的に集中します。このような鉄筋コンクリート造のマンション等では、コンクリート構造体を複数に分割します。

 複数に分割された建物の開放廊下では、隙間を通行できるようにするため、金属板で覆います。これが、エキスパンション・ジョイント金物です。
建物の間隔は、大地震時に建物の構造体が衝突しない距離とし、現在では、建物の高さの1/100の間隔が取られています。

 エキスパンション・ジョイント金物の破損等の不具合を、補修するか改修(取替)するかの判断は、不具合の状況や箇所数、建物の間隔、どのような材料(スチールかステンレスか)を使用し、どのような取付方法で施工されているのかを総合的に検討することが必要です。

 

回答者:NPO日住協協力技術者
一級建築士 近藤武志
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2011年4月号掲載)