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長期修繕計画の修繕周期の設定の仕方は?(2016年8月号掲載)


 管理会社で長期修繕計画を見直し、新たな長期修繕計画が提案されました。内容は見直し前同様に大規模修繕工事が10年周期で、外壁の塗装やタイルの修繕と鉄部の塗装やバルコニー・共用廊下の床防水修繕、シーリングの取替、屋上防水の修繕などが計画されています。
 知人のマンションでは大規模修繕工事は12年周期で、屋上防水は18年周期とし大規模修繕工事項目に屋上防水は入っていないようです。この違いはマンションの作り方の違いなのでしょうか?



 長期修繕計画作成に於いて修繕周期は重要なファクターです。修繕周期を短くすれば維持保全上は安全ですが、修繕積立金が高額になってしまいます。
 一方修繕周期を長くすれば修繕積立金を抑制できますが、長すぎると建物劣化が過度に進行し、修繕費が高額になってしまいます。
 修繕周期は、そのマンションの過去の修繕歴や現状の劣化状況、部材の耐用年数、建物の立地環境など種々な条件を考慮して決定します。国土交通省監修の『長期修繕計画標準様式・作成のガイドライン』では大規模修繕工事の周期を12年前後、屋上防水の修繕周期は部分補修を12年前後、全面改修を24年前後という参考例を提示されています。管理会社の長期修繕計画は大規模修繕工事の周期を10年としているケースが多かったのですが、このガイドラインが発刊されてから12年周期とするのが増えてきています。
 多くのマンションを見てきましたが、何らかの条件で劣化の進行がよほど早くないかぎり、大規模修繕は12年位が手頃だと思います。又、屋上防水は雨漏り事故が発生していないのなら、大規模修繕時に劣化が進んだ部分のみの部分補修を行い、全面改修は露出防水なら20年前後、防水層の上がコンクリートで保護されている防水なら30年前後の修繕周期で良いと思います。屋上防水は足場がなくても施工できるので、必ずしも大規模修繕に合わせる必要はありません。
 尚、長期修繕計画で修繕周期に基づき修繕時期を計画しても、その年に必ずしも実施しなければならないものではなく、5〜6年毎に長期修繕計画を見直し、劣化状況を確認し、先送り或いは前倒しする事も必要です。屋根防水は40年近く放置して雨漏りが発生していないマンションも見られます。
 最近は修繕積立金軽減のため大規模修繕周期の延伸を検討し、18〜20年周期に出来ないかと専門家等で模索しています。

回答者:NPO日住協協力技術者 一級建築士 山田 俊二
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2016年8月号掲載)