植栽&環境整備

改修工事関連特集記事 -- 浴室床排水金物更生新工法

■はじめに
 最近排水管からの漏水の発生事例を耳にすることが多くなってきた。
 築後20〜30年のマンションの排水管の改修には、個々の物件の劣化状態に応じて、更新するか、更生するかを費用対効果に照らして採用することになる。全面取り替えの更新工法はともかくとして、部分的な処置で延命を図れる場合に適した工法としての更生工法が注目されている。その適例として浴室の床排水金物の更生がある。
 筆者が最近経験した事例の紹介をとおして更生の新工法を紹介する。

■更生部位
 在来工法の浴室排水は、スラブを貫通する構造の排水金物が使用され、階下の天井内枝管を経て立管に接続されている。
 排水枝管、および立管には、管内ライニング工法が既に開発されているが、新工法はスラブを貫通している床排水金物内部の更生である。


■開発の背景
 浴室の床排水金物の改修は、浴室床防水の改修時に一緒に更新する場合が多いが、費用が多大であり更生工法の開発が待たれていた。浴室の床排水金物を「更新」する場合には、床排水金物のみの更新にとどまらず、浴室の床防水まで改修しなければならない。
 部分更新で床排水金物のみを更新し床防水を施した場合には、浴室の防水保証を業者は出せない。施工後、浴室から漏水がでた場合には、更新した排水金物廻りの防水からの漏水なのか、既存の浴室防水からの漏水か判断できないからである。
 事例は、築後31年を経過したマンションであるが、浴室からの漏水事故の報告は1件もあがっていなかった。排水管枝管と立管は老朽化が進んでおり取り替えを計画し、床排水金物は更生することとした。
 その更生方法をさがしている中で、更生業者の協力を得て、設計・監理者(今井哲男建築設備設計事務所)との共同研究で次に紹介する新工法を開発し施工した。


■新工法の紹介
 今までも、床排水金物の錆びを落とした後、ハケなどでエポキシ樹脂などを塗布する等の更生の仕方はあったが、ハケ塗りの場合には塗布した塗料の剥離などの心配もあった。また、直管の更生では、塗料を含浸させた繊維を管内に反転挿入する工法、およびライニング工法などが開発されている。


新工法施工
ショートマルライナー工法による施工


 しかし、イラストのような複雑な形状にも適用できる更生工法はなかった。トラップ内の立上がり直管と胴の部分を別々に更生する部分更生ではなく、複雑な形状を一体化して更生できる工法を目指した。
 そこで、更生材は伸縮性の高い繊維で丸編みし、トラップの形状になるようにシームレスに仕上げ、その更生材にエポキシ樹脂を含浸入させ、反転挿入する『ショートマルライナー工法』(工法元=マルナカ)を開発した。
 直管部(30cm程度)は、反転挿入後、成型させるためのチューブを入れ圧搾空気を注入し管に接着させ、トラップの胴部分の成形にはシリコン製の型をはめ込みバネによって接着させた。
 温風乾燥を行うことにより、施工後一日で通水可能であり、1日の更生戸数(トラップの錆び落とし清掃から反転挿入乾燥まで)は5戸が可能である。
 なお、「わん」はFRP製のものに取り替えた。


■開発のコンセプト

(NPO日住協協力技術者・今井建築設計事務所 今井哲男)