植栽&環境整備

「マンション耐震化マニュアル」を国交省が作成

国土交通省はこのほど管理組合や区分所有者のマンションの耐震化に関する実務的な手続き、留意点などをまとめた「マンション耐震化マニュアル」を作成した。これは合意形成の円滑化や耐震改修などの促進を図ることが目的だ。

本マニュアルによれば、耐震化実現に向けては「耐震診断段階」「耐震化検討段階」「耐震改修計画段階」「耐震改修実施段階」という4つの段階を踏みながら、合意のレベルを着実に高めていくことが重要としている。

耐震診断段階

まず理事会は管理会社やマンション管理士、自治体の相談窓口などに、内容や費用を相談して必要な情報を集めその実施について検討する。

その後理事会で耐震診断の実施を決定した場合は専門家に費用の見積りを依頼して予算化をする。収集した情報をまとめ、耐震化を必要とする理由、耐震診断の内容、費用の見積りなどを示した上で、総会の議案として耐震診断資金の拠出方法について提起し、診断実施する。

耐震診断による総合評価を判断し、理事会として耐震化が必要と確認した場合はその必要性について組合広報誌などで区分所有者の理解を得るための活動を行い、耐震化検討段階へ進む。

耐震化検討段階

本マニュアルによれば耐震化には、耐震改修と建替えの2つの方向性があるとしている。

検討には理事会で耐震診断の結果と自分たちのマンションの現状を考え、基本的なイメージをつかむために、耐震化によってどのようなマンションにしたいか、希望などを話し合い、クリアにすべき課題点を整理する必要があるとしている。

また耐震改修か建替えかを比較検討する上で、区分所有者に対してアンケートなどを実施して、その結果を踏まえ理事会として耐震化検討の進め方を方針決定することが合意形成上望ましいとしている。

その後、耐震改修推進決議に向けて「耐震化検討委員会」などの検討組織を設置し、メンバーには様々な立場の区分所有者を選定して誰もが話を聞けるようなオープンな運営を行うことが重要であるとしている。また、専門家の役割と必要性を確認し、第三者的立場で権利調整、合意調整できる専門家の選定を行う。

耐震改修計画段階

総会で耐震改修を推進することが決議されたのを受け、耐震改修決議に向けて、耐震改修計画の検討を行う。

「耐震改修計画」「資金調達」「費用負担」の項目を検討し管理組合の資金計画や区分所有者の費用負担額を整理する。

また合意形成を進めるためには、個別事情のある区分所有者や非賛成者への対応が必要で、反対理由が個人の資金面や健康面などプライバシーに関する場合には、専門家や日頃から親しい区分所有者が相談にのるなどの対応が必要としている。

耐震改修工法選定については、区分所有者の意向を考慮して、複数の改修案について比較、検討することが望まれ、特に専有部分へ影響のある工法は事前に了承が得られるかどうか、十分に調査する必要がある。

資金調達に関してはまず修繕積立金でまかなうことが考えられるが、不足の場合、区分所有者からの一時金徴収や金融機関からの借入金の必要があるため返済などの基本方針検討を行う。理事会は各検討結果を踏まえて、総会へ提議する。

耐震改修実施段階

耐震改修決議に基づき耐震改修実施設計を作成し、耐震改修促進法による行政庁の認定手続きも受けることができる。これは必ずしも受けなければならないものではないが、特例措置や支援制度で有効な面もある。

また高齢者など社会的・経済的に弱い立場にある区分所有者が、不安を持たずに賛成できる計画の組み立てや、工事期間中の仮住居、仮駐車場の確保、決議の当事者にならない借家人への事前説明も重要なこととし、負担金未納入者や工事非協力者への対応は区分所有法に基づき専門家と相談の上対処することを勧めている。

支援制度

国の補助制度として耐震診断、計画策定、耐震改修を対象とした「住宅・建築物耐震改修等事業」があり、地方公共団体においても補助制度が整備されている場合もある。融資制度は住宅金融支援機構による管理組合や区分所有者に対する融資があり、税制面では、住宅に係る耐震改修促進税制として耐震改修を行った場合に所得税、固定資産税に係る特例が受けられる場合がある。

また、地震保険料率の割引制度もある。本マニュアルでは、自治体の相談窓口、各種専門家の業務内容や関連団体連絡先も掲載されている。

本マニュアルの入手方法は、マンション再生協議会などが無料で配布する他、国交省のホームページからもダウンロードできる。

http://www.mlit.go.jp/



(2007年7月号掲載)