植栽&環境整備

マンションの安全・安心の管理を見定めよう

エレベーター事故を起こさないために

シンドラーショック

東京都港区の高層マンションで起きたエレベーター圧死事故は、エレベーターの製造から保守管理までの情報共有等の構造的欠陥が浮かび上がった。

シンドラーエレベータは大事故を引き起こしたという認識が乏しく、原因の究明を早急に実施しようという姿勢も当初なく、「保守をしていないエレベーターで起きた事故」と、その責任を保守会社に転嫁し、また、責任のなすり合いに一生懸命になっていた。

製造物責任という観点から、当初から、きちんと事故の解明をしようとする姿勢がなかったのは許し難い。死亡事故を起こしたエレベーターとは別に、欠陥プログラムが明らかになり、シンドラーエレベータのメーカーとしての責任は重い。

開示システムが必要

今回のエレベーター事故の問題点は、メーカーが技術面の開示をしなかったことにある。

保守会社にはメーカー系と独立系があり、メーカー系はその技術情報等を簡単に手に入れることができ、保守管理上優位に立つ。一方、独立系は技術情報の入手は困難で、暗やみで仕事をしているに等しい。

あり得ない事故が起きたという事実を、シンドラーエレベータと保守会社は真摯に受け止め、その解明に務めなければならない。

さらに、具体的な安全面の取り組みを徹底し、それも併せて公表すべきである。この点をきちんとしない限り、エレベーターを利用している、とくに、高層マンション居住者と管理組合は安心できない。

ヒヤリハットの法則

アメリカのハインリッヒが発表した、労働災害を分析した結果導き出され、「1件の重大災害(死亡・重傷)が発生する背景に、29件の軽傷事故と300件のヒヤリハットがある。」という法則。ヒヤリハットまでいかない、或いは自覚しない、日常的に何らかの危ない状態は、かなりの件数に上っていると考えられ、「この程度なら大丈夫」という間違った経験則と判断が、大事故につながるのである。

今回のエレベーター事故も、ヒヤリハットの状況のうちに、その認識を持っていれば、大事故に至らなかったのだ。

管理コストの削減は慎重に

安かろうでは安全は守れない

管理コストを削減しようと、管理組合が各業者の仕事とコストを見直そうとしている。見積りを取り、安い管理会社、安い保守会社へと移行している。競争原理の中で、よい業者を選定するのは基本的にはよいことであるが、その際原則をきちんと決めておくことが必要である。大切なのは、質の面をどう計るかだ。安かろう悪かろうではマンションの安全は守れない。

そのためには共通仕様書が必要である。仕様書がないまま、見積りだけを出させると仕様はバラバラになり、管理組合は価格の安さにだけ関心を寄せる結果、質の面は疎かになるので注意したい。

仕様書作りは、管理会社の選定、保守会社の選定、工事業者の選定など、すべてに共通する。

マンションを安全に!

エレベーターは、設計、製造、据え付け、保守管理が一貫して安全性を第一に考慮して行うことが基本の基である。

メーカーは技術面の開示を行い、保守会社はどのような小さなトラブルであっても、その事実をメーカーに伝え、メーカーはそれをストックし、その事故の解明を行い、それらを、保守会社にフィードバックする仕組みをつくる必要がある。

管理組合は保守会社に対して、どのようなトラブルでも報告させ、その傾向を把握し、保守会社と伴に安全管理を行っていく義務がある。

エレベーターのみならず、マンションの安全・安心のために、しっかりとした管理が必要となっている。



(2006年6月号掲載)