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総会の決議なしに成長しすぎた樹木を伐採するのは違法か? (2007年3月号掲載)

Q.

私達の団地の敷地内には200本の樹木があります。緑が多いことは良いことですが、一部の樹木が成長しすぎて、管理に支障が生じており、組合員からのクレームも出ていました。そこで、何本かの木を伐採したところ、組合員のAさんから、樹木は共有財産だから総会の決議もなしに、伐採することは違法であると言われました。どのように考えたらいいのでしょうか?



A.

この問題は樹木の伐採を法律上どのような行為と見るかによって結論が異なります。

区分所有法は共用部分の管理については、これを(1)変更行為(2)管理行為(3)保存行為の3つに分類しています。(1)の変更行為のうち「その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの」(軽微な変更)については(2)の管理行為の範疇に含めています。変更行為を行うための要件は区分所有者の及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議(特別決議)が必要になります。

また、変更行為でも形状又は効用の著しい変更を伴わないもの及び管理行為については集会における普通決議で行います。なお、これらについては規約で別段の定めをすることが出来ますので、あらかじめ規約で理事会の権限で行えるという規定を置いておけば、集会決議は不要になります。そして、保存行為については各区分所有者が単独で行うことが出来ます。

以上を前提に考えると集会の決議を得ないで伐採できるのは(規約に根拠規定がなければ)当該行為が保存行為に該当する場合に限られることになります。

ここに、保存行為とは共用部分の滅失毀損を防止し、現状の維持を図る行為をいいます。例えば、当該樹木を伐採しないと、他の保存・育成すべき樹木に悪影響を及ぼす場合や、樹木が組合員の日常生活に悪影響を及ぼしている場合(通行や歩行の邪魔になる場合等)、これを避けるために何本かの樹木を伐採することは「保存行為」にあたると考えて良いと思います。

これに対して、具体的な悪影響が発生していない場合、樹木(緑地)の配置を整えるために樹木を伐採すること等は、管理行為にあたると考えられ、規約に定めがない限り、集会の決議が必要になると考えられます。また、本件では直接問題になりませんが、樹木の大半を伐採するのであれば「形状または効用の著しい変更」に該当するので、集会の特別決議が必要になります。

ところで、樹木を伐採する場合、予算措置が必要であり、定時総会で緑化事業費等の名目で予算の承認を事前に受けていることが通常であると思います。このような事業計画の一環として、伐採を行っていれば、予算案の承認を受けた中に、伐採を承認する決議が含まれていると考えることは出来ると思います。

樹木の伐採は大規模なものでない限り、管理行為か保存行為のどちらかに該当することになりますが、その区別は伐採の規模・態様・目的を総合考慮して、判断されます。余計な紛争を起こさないという意味では、あらかじめ、定時総会で予算を決議する際に、樹木の伐採計画の内容を明示して、集会決議を経ておくことが大切だと思います。また、規約で通常の管理行為については理事会に委ねると定めておくことも有用です。

回答者:法律相談会 専門相談員 弁護士・石川貴康
(2007年3月号掲載)