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Aさんの部屋の壁から原因不明の水漏れ 管理組合としての対応は? (2007年9月号掲載)

Q.

201号室に住んでいるAさんが部屋の壁から水漏れがするので、何とかして欲しいとの申し入れが管理組合にありました。理事長である私と副理事長でAさんの部屋を見に行きましたが、水漏れの形跡は確認できましたが、何が原因かはよく分かりませんでした。管理組合としてはどのように対応したら良いでしょうか。



A.

管理組合の対応としては水漏れの原因が何処にあるかで結論が異なります。まず、水漏れの原因が専有部分から発生しているのであれば、専有部分の所有者が責任を負います。例えば、水漏れの原因が、Aさんが自ら部屋に設置したエアコンの排水ホース等から生じた場合にはそれはAさんの専有部分から生じたものとしてAさんが責任を負うことになりますし、上の階である301号室に住んでいるBさんが水をこぼしたことが原因であればBさんが責任を負います。他方で、水漏れの原因が共用部分から生じているのであれば、区分所有者全員で即ち、管理組合で責任を負うことになります。 問題となるのは、漏水の原因が専有部分から生じているのか、共用部分から生じているのかはっきりしない場合です。

この点について区分所有法9条は「建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する」と規定しています。つまり、マンションにおいて水漏れという瑕疵が発生すれば、その瑕疵は共用部分から生じていると推定されるのです。従って、その瑕疵の原因が専有部分にあることを証明しない限り、管理組合が水漏れに関する責任を負うことになります。そして、このような推定規定があるということは水漏れの原因を調査する義務も管理組合に課せられていると考えるべきです。

本件のような事案で「水漏れの原因が共用部分から生じているかはっきりしないから管理組合としては対応できません」等と答えてしまう理事さんが稀にいますが、このような対応は不適切であることになります。

以上を前提に管理組合の対応を考えると、管理組合において水漏れの原因の調査を行い(場合によっては専門業者に依頼することも必要になるでしょう)、その原因が専有部分にあることが明確となれば、管理組合が責任を負うことはありませんが、水漏れの原因が共用部分であることがわかった場合、あるいは調査しても原因が専有部分にあるのか共用部分にあるのか分からなかった場合は管理組合が水漏れが発生しないように補修工事を行うことになります。

また、水漏れによりAさんに損害が発生していれば、その損害を賠償する責任も負うことになります。  水漏れの損害は予想外に拡大することがありますので、管理組合としてはそのような場合に備えて損害保険に加入することを検討すべきでしょう。既に、損害保険に加入している管理組合であれば、契約内容を確認したり、保険会社の担当者に連絡するなどして、損害保険の適用について検討することになるでしょう。

回答者:法律相談会 専門相談員 弁護士・石川貴康
(2007年9月号掲載)