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夫婦で一戸を共有している場合の議決権は?また、2人の総会への出席や意見は認められるか? (2008年7月号掲載)


私達のマンションの201号室はAさんとその妻であるBさんの共有になっています。総会に2人で出席してきますが、議決権はどのように行使させれば良いのでしょうか? 
また、AさんもBさんも良く発言されますが、共有者である以上、A、B両名の出席や発言を認めないといけないのでしょうか?




区分所有建物の1室を共有している場合でも議決権1個です。
例えば、区分所有法39条では「区分所有者及び議決権の過半数で決する」など議決権の関係で区分所有者の頭数が問題となるときも、共有者全員で「1」個と数えます。A、B両名に議決権を認めることは、1室について「2」個の議決権を認めることと同じですから、そのようなことは認められません。 民法252条には「共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる」と規定しています。集会における議決権の行使は「管理に関する事項」ですから、本来であれば、過半数の持分を有する者が行使することになりますが、多数の所有者(組合員)が存在するマンションにおいて、管理組合側が、共有者間の内部の持分割合にまで配慮して、集会における議決権の取り扱いをしなければらないとするのは煩雑です。
そこで、区分所有法40条は「専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は議決権を行使すべき者1人を定めなければならない」と規定しており、標準管理規約にも同様の規定があります。
管理組合としては、A、Bに対してどちらを議決権行使者とするのか事前に届けるように指示して(管理組合が指定することはできません)、届出をした方のみを議決権行使者とします。議案書なども議決権行使者とされた者についてだけ送付すれば足ります。
では、議決権行使者をAさんと定めた場合、一方の共有者であるBさんは総会に出席することができるのでしょうか?
本来総会に出席できる者は「本人」か「代理人」に限られます。本件では議決権行使者の「本人」たるAさんが出席しているのですから、Bさんは総会に出席する権利はないと言えます(Bさんが代理人であれば、代理人が出席している以上、本人は出席できなくなります)。
もっとも、標準管理規約には「組合員のほか、理事会が必要と認めた者は、総会に出席することができる」と規定されており、規約で同様の規定を定めていれば、理事会でAさんに加えて、Bさんの出席を認めることはできます。
また、規約にかかる規定が無くても、議長の裁量で出席を認めることもできます。
A、Bの両名の出席を認めても、議事が混乱するおそれがないのであれば議長の裁量で出席を認めても良いですし、逆に、両名の出席を認めることで議事が混乱するおそれがあれば、原則に戻り、議決権行使者以外の出席を認めない方が良いでしょう。
仮に、出席を認める場合でもBさんは議決権行使者本人でもなく、その代理人でもなく、その資格は所謂「オブザーバー」的なものですから、議決権行使は当然に出来ませんし、質問する権利もありません。



回答者:法律相談会 専門相談員 弁護士・石川貴康
(2008年7月号掲載)