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滞納者Aさんが個人再生手続きを申請した場合、滞納管理費はどうなるのでしょうか?(2010年11月号掲載)


 組合員のAさんは管理費と修繕積立金を2年も滞納しており、その金額は48万円になっています。Aさんは複数のサラ金からも借り入れをしているようですが、今般Aさんの代理人と称するB弁護士から、Aさんの債務整理を受任したとの手紙が来ました。それによれば個人再生手続を検討しているとのことです。この手続が裁判所に申し立てられたら、滞納管理費等はどのように取り扱われるのでしょうか?




 個人再生手続というのは簡単に言えば負債(借金)の5分の1(最低100万円)を3年間で分割弁済すれば、その残りの負債は免除を受けられるという制度です。なお、住宅ローンは免除の対象とはなりませんが、住宅資金特別条項というのを定めることで、返済期間を延長等をしてもらうことも可能です。
 住宅を手放さないで、カードローンやサラ金の負債を一部免除を受けて借金の清算をするための手続であるといえます。
 では、滞納管理費等は個人再生手続ではどのように扱われるのでしょうか。
 マンションの管理費や修繕積立金には区分所有法7条で先取特権が認められています。
 この先取特権には「一般の先取特権」と言われるものと「特別の先取特権」と言われるものがありますが、区分所有法7条の先取特権は「特別の先取特権」に該当します。
 そして、「特別の先取特権」は個人再生手続とは関係なく、権利を行使することができます。この先取特権が実行されればAさんは居室(不動産)を失うことになりますので、特別の先取特権が存在する場合は、住宅資金特別条項を設定することができません。
 つまり、個人再生手続において住宅資金特別条項を定めるためには、滞納管理費等を解消しておく必要があると言うことです。
 また、滞納管理費等は特別の先取特権によって保護されているので個人再生手続で減免の対象にもなりません。
 前述の説明は一般の方には少し難しく感じられるかも知れません。
 実は弁護士であっても、個人再生手続をとればマンションの滞納管理費等を一部減免できると誤解したまま手続を進めようとしている事案に遭遇することが時々あります。
 皆さんは法律の専門家ではありませんから、手続の内容を詳細に理解する必要はありませんが、(1)滞納者が個人再生手続をとってもマンションの滞納管理費等が減免されることはないこと(2)先取特権を行使して、不動産の競売申立が可能であることは憶えておいてください。
 本件ではAさんが裁判所に個人再生手続の申立をしても、滞納管理費等が減免されることはありません。
 個人再生手続の進行に関わらず、48万円全額を請求することができます。裁判所に滞納金の届出をする必要もありません。



回答者:法律相談会 専門相談員 弁護士・石川貴康
(2010年11月号掲載)