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総会と理事会で決定する事項の区別 (2005年9月号掲載)

Q.

総会で決定する事項と理事会で決定する事項の区別がよく分かりません。特に規約に明記していない事項については判断に迷います。どのように考えれば良いのでしょうか?



A.

区分所有法は総会の決議事項については規定していますが(管理組合が法人の場合「理事」を置くとの規定はあるが)、「理事会」の規定は全く無いのです。区分所有法を作った人は理事会は管理組合にとって必ずしも必要な機関とは考えていなかったからだと思いますが、実際は多くの管理組合で理事会を設置しています。ところで、この理事会の設置の根拠は規約です。したがって、理事会の決定事項は一般的には規約で定められたものに限られます。

一般的に規約で定めている理事会の権限は収支決算案や事業報告の作成、長期修繕計画や総会提出議案の作成、専有部分の改装(リフォーム)の承認・不承認の決定等があります。

前述したように理事会の権限は規約で定めるのですから、それぞれのマンション実情に併せて、規約を作成、追加、修正して理事会の権限の範囲を決めればいいことになります。また、総会で一定の事項について理事会に付託することも可能です。総会は通常、年に1回しか開かれませんが、理事会は毎月1〜数回開催されることが普通ですから、機動的な意思決定をする必要性の高いものはあらかじめ理事会に委ねておくことが便宜です。他方で、理事会は特定少数の理事で運営されますので、場合によっては組合員の多数の意思に反した運営がなされる危険も皆無ではありません。そうすると組合員に重大な影響を与えるものついては理事会に委ねずに総会で決定する方が良いとも考えられます。

このバランスをどのように図るかは価値観も絡む難しい問題ですので管理組合の実情にあわせてよく議論して決めるべきでしょう。

では、規約に明示されていない事項についてはどのように考えるべきでしょうか?一般論としては判断に迷った場合は総会で理事会へ付託するか否かを決めるのが安全策ではあります。 しかし、例えばエントランスや集会所の電灯が切れたけどその交換について規約で定めていないからといってわざわざ総会を開催して理事会に付託する必要はないでしょう。建物の保存行為は各区分所有者が単独で出来ることを考えれば軽微な修繕や補修は規約に定められていなくても理事会で決定して問題ないと思われます。

他方、地震で集会所の壁が壊れて、大規模な補修が必要な場合に理事会の決定だけで出来るのかは問題があるところです。共有物の管理については(規約で別段の定めが出来るとしても)原則として集会の決議を必要としている法の建前から考えれば相当程度の費用がかかるものについては規約で明記していない場合は総会の決議を得るか、総会の付託を受ける必要があると考えた方が良いと思います。この判断は結論から言えばケースバイケースということですが、敢えて言えば

  1. 緊急性や機動性が要求される
  2. 費用が低額である
  3. 組合員に不利益を与えるおそれが低いものは規約に明記されていなくても理事会で行える
と考えます。

回答者:法律相談会 専門相談員 弁護士・石川貴康
(2005年9月号掲載)