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組合員の単身者Aさんが死亡 相続人の姉弟は相続を放棄/滞納管理費はどうなるのか?(2011年1月号掲載)


 私達のマンションの201号室に住んでいる組合員のAさんが亡くなりました。Aさんは1年前から病気で入院していたそうで、ここ6カ月は口座振替も不能で管理費も滞納されたままでした。調査したところAさんには妻も子供もいないのでAさんのお姉さんBと弟さんCが相続人であることが分かりましたので、手紙を送りましたが、いずれも相続を放棄する予定であると返事が来ました。このままでは滞納管理費が増える一方です。どうしたら良いでしょうか?




 本件では相続人であるBとCは放棄をする予定であるということで相続放棄をしているわけではありません。そこで、相続放棄が本当になされたのかを確認する必要があります。相続放棄の期間は相続の開始を知ったときから3カ月間です。相続人が家庭裁判所に相続放棄を申請してこれが受理されると、相続放棄の受理証明書というものをもらうことができます。
 まず、管理組合としてはBとCに対して、相続放棄の受理証明書のコピーを送るように依頼して、相続放棄がなされているのか確認します(もし、BとCが受理証明書を送ってくれない場合は利害関係人として家庭裁判所にAさんの相続についてBとCが相続放棄したか、照会をかけることができます)。
 では、BとCが本当に相続放棄をしており、相続人がいないことが明らかとなった場合はどのようにすれば良いでしょうか。そのまま放置すれば滞納管理費が増えることになりますし、裁判を提起するとしても相手がいないのではないかという疑問もあります。
 本件のような場合管理組合は、家庭裁判所に対してAさんの相続財産管理人を選任してもらうことを求めることができます。
 相続財産管理人というのは文字通り亡くなったAさんの相続財産を管理する人です。
 相続財産管理人が選任された後の滞納管理費の回収の方法ですが、大きく分けて2つあります。
 1つは相続財産管理人を相手に訴訟を提起して、判決をもらい、さらに競売を申し立てる方法です(例えば、Aさんの201号室がもともと賃貸に出されており、賃借人がいるような場合であれば、賃料の管理も相続財産管理人の仕事になりますので、入ってくる賃料から管理費を払ってもらうことは可能です)。
 もう一つは、相続財産管理人を売主として当該不動産を第三者に売却して、その際に管理費を精算する方法です(滞納金は買主に引き継がれますので通常は売買の際に滞納金を精算します)。
 法律上は相続財産管理人には物件を売却して処分する権限はないのですが、家庭裁判所の許可を得て売買をすることができます。
 裁判を提起したり、競売の申立をする手間は省けますが、債権者への債権届出の公告や相続人捜索などの公告をしなければならない場合は、これらの手続を経た後でなければ売却の許可を申請できないので、時間がかかる場合もあります。どちらの方法が良いのかは専門家に相談しながら進めると良いでしょう。



回答者:法律相談会 専門相談員 弁護士・石川貴康
(2011年1月号掲載)