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「リゾートマンションの定住使用を禁止したい/管理規約を変更できるか?」(2013年11月号掲載)


 リゾートマンションの管理規約を変更して、定住使用を禁止したいのですが、反対している区分所有者が一名います。総会の特別決議で管理規約を変更すれば問題ないでしょうか?




 区分所有法31条1項は、管理規約の変更について定めています。そこには、規約の変更が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときは、その承諾を得なければならない、と規定されています。
 この「特別の影響を及ぼす」とは、規約の設定、変更等の必要性及び合理性とこれによって一部の区分所有者が受ける不利益とを比較衡量し、当該区分所有関係の実態に照らして、その不利益が区分所有者の受忍すべき限度を超えると認められる場合を指すとされています(最高裁平成10年10月30日判決)。
 リゾートマンションは、通常、余暇を楽しむための施設として作られており、定住使用は、本来予定されていないものが多いかと思います。ほとんどの居室が保養目的等のために一時的かつ不定期的に使用されている場合は、一部の居室のみが定住等のために継続使用されると、管理費用等の負担に不均衡が生ずるおそれもあります。
 類似の事例で、第一審の判決(横浜地方裁判所小田原支部平成21年3月31日判決)は、反対している区分所有者自身が住んでいるわけではなくその親族が住んでいるにすぎないことや、購入時に定住使用が禁止され得ることが予想可能だったことなどを理由として、定住を禁止する規約変更をしても、特別の影響を及ぼさないとして、反対者の承諾を不要としました。
 しかし、控訴審の判決(東京高等裁判所平成21年9月24日判決)は、「所有者がその所有物を本来の用法に従って使用収益することは所有権の本質的内容であるから、(定住使用を原則禁止する)管理規約は、本件居室所有権の本質的内容に制約を加えるものと認めることができ、この規定を定めなければ他の居室所有者の権利が著しく害されることが避けられないなどの特段の事情がない限り、受忍限度を超える不利益を与えるものと認めることができる」として、「特別の影響を及ぼす」ことを認め、反対者の承諾がない限り、反対者との関係で規約は無効であるとしました。
 控訴審は、第三者に居室を使用収益させることも居室所有権の本質的内容をなすと言及し、管理費用等の負担の不均衡についても、管理費用等の負担割合について合理的な定めをすることにより、一時的かつ不定期的にのみ使用する者の不利益を解消することが可能であるとしました。
 第一審が、その事案の具体的事情を総合的に判断して結論を導き出しているのに対し、控訴審は、「所有者がその所有物を本来の用法に従って使用収益することは所有権の本質的内容である」という命題を重視して判断していると思われます。
 以上のように、反対者の承諾が必要となる可能性が高いので、注意して下さい。



回答者:法律相談会 専門相談員 弁護士・内藤 太郎
(2013年11月号掲載)