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「マンション総会議事録の保存期間と保管義務者」(2015年5月号掲載)


 管理組合と組合員であるAさんとの間である裁判をしています。依頼をしている弁護士さんから15年前の管理組合の総会の議事録を見せて欲しいと言われました。管理事務室を探しましたが、10年より古い議事録が見つかりません。そもそも議事録は何年間保存しなければならないのでしょうか。また、議事録の保管義務は誰が負うのでしょうか。




 区分所有法は33条1項では「規約は管理者が保管しなければならない」と規定しており、42条で「33条の規定は議事録について準用する」と定めています。標準管理規約に依拠している多くのマンションでは理事長を区分所有法上の管理者としていますから、理事長が議事録の保管義務を負っていることになります。しかし、議事録の保管期間については区分所有法には規定がありません。総会議事録といえば株式会社を想像する人も多いと思いますが、株式会社の総会議事録の保存期間を直接定めた規定はなく、株主総会から10年間は総会議事録を本店に備え置かなければならないという規定が会社法にはあります。しかし、マンションの総会議事録にはそのような備え置き期間を定めた規定もありません。
 ところで、筆者が、過去に管理組合の依頼を受けて提起した滞納金請求で修繕積立金の金額が争われたことがありました。その場合管理組合側で現在の修繕積立金の金額を証明しなければなりません。理事さんに聞いたら15年くらい前の総会で値上げの決議をして今の金額になったということなので当時の総会議事録を探してもらいましたが、見つからなかったということがありました。
この件はAさん以外の組合員が管理組合の主張する金額の修繕積立金を払っているので裁判所も値上げを決議した総会の議事録がなくても勝たせてくれましたが、争われる内容によっては決議の内容を記載した議事録がなければ証明することが難しい場合も考えられます。
 そのように考えれば、総会議事録はできれば半永久的に保存しておくことが望ましいといえますが、管理組合には帳簿や伝票、契約書等保管しておくことが望まれる様々な書類があり、その全てを半永久的に保管しておくことが物理的に困難な場面もあると思います。
 そこで、規約や細則において議事録を含めた書類の保存期間を定めておくことが考えられます。その場合でも総会議事録のような重要な書類はできるだけ長期間(個人的には議事録は半永久的に保存して欲しいのですが、最低でも20年位、あまり重要でない書類は10年くらい)としておくべきだと思います。また、原本を破棄する際に写しを電子データで残しておくことも良いでしょう。
 先に述べたように管理者(理事長)は議事録の保存義務を負い、その義務に反すると20万円以下の過料に処せられることがあります。
 安全な方法として議事録等の重要な書類だけは銀行の貸金庫などを利用して保管することも考えられますが、費用が発生しますのでそこまですることはないでしょう。ロッカーやキャビネットなどに保管しておくことが多いと思いますが、きちんと施錠しておけば管理者の保管義務は果たしていると考えられます。



回答者:法律相談会 専門相談員 弁護士・石川 貴康
(2015年5月号掲載)