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「団地修繕積立金を各棟の大規模修繕に流用できるか」(2015年7月号掲載)


 私が住んでいる団地では、居住棟が10棟あるのですが、そのうち半分の5棟につき、大規模修繕を実施しようとしています。しかし、この5棟の各棟修繕積立金が不足しており、このままでは実施ができません。そこで、団地修繕積立金を流用しようという声が上がっています。このような、異なる会計区分の間で流用を認めることはできるのでしょうか。




 ご質問者の団地の管理規約がどのように規定されているか分からないので、ここでは、標準管理規約(団地型)を前提としてお答え致します。
 標準管理規約(団地型)第30条はその第1項で、「管理組合は、次の各号に掲げる費用ごとにそれぞれ区分して経理しなければならない。一 管理費、二 団地修繕積立金、三 各棟修繕積立金」とあり、第2項で、「各棟修繕積立金は、棟ごとにそれぞれ区分して経理しなければならない。」と規定しています。そして第28条及び第29条にて、団地修繕積立金と各棟修繕積立金を取り崩せる場合を制限列挙しています。制限列挙とは、列挙した事項についてのみ取り崩しが可能という意味です。
 以上から明らかなとおり、標準管理規約(団地型)は、異なる会計区分間での経費の流用を認めていません。団地修繕積立金は、土地、附属施設及び団地共用部分の特別の管理に要する経費であり、各棟修繕積立金は、各棟の共用部分の特別の管理に要する経費です。流用は許されません。流用を認めるということは、今回のご質問に即した例でいいますと、A棟の共用部分について、何ら権利を有していないB棟の居住者が、A棟の共用部分の修繕のために、B棟の居住者も負担する団地修繕積立金を使うことになります。これは、B棟の居住者にとって明らかに不利益です。筋が通りません。
 ご質問の流用を認めるためには、少なくとも流用が可能になるように管理規約を変更する必要があります。しかし、ご質問の流用は、そもそも筋が通らない不公平な流用です。この点、区分所有法第30条第3項は、「…規約は、…区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならない」と定めておりますので、ご質問の流用を認める内容の管理規約の変更は、区分所有法第30条第3項(同法66条により団地に準用されます)に違反し、許されないと考えます。
 このように、各棟の大規模修繕のために団地修繕積立金を流用することは、認められないと筆者は考えます。



回答者:法律相談会 専門相談員 弁護士・内藤 太郎
(2015年7月号掲載)