Q&Aから -- 法律相談会のQ&A

年1回の「虫食い」滞納者への対策は? (2005年1月号掲載)

Q.

私どものマンションに住んでいるAさんは1年に1回だけ管理費を滞納しています。平成12年3月分の管理費が間もなく時効で消滅していまいます。裁判も検討していますが、Aさんが滞納しているのは5年弱で5ヶ月分です。裁判費用を考えると訴訟するにも躊躇があります。何か良い方法はないでしょうか?



A.

3〜4年も継続して管理費を滞納していれば、金額は多くなるので、裁判をするのにあまり躊躇しないかも知れませんが、説例のような場合は弁護士を頼めばその費用の方が高くつく可能性が高いでしょう。

所謂「虫食い」のように滞納が発生している場合に古い滞納分が時効で消滅することを防ぐために規約等で滞納管理費の充当関係を定めておくと良いと思います。例えば「滞納者が管理費の支払いをした場合は支払時期の古い滞納分に充当する」と言うような規定です。Aさんが平成17年1月末に管理費を支払ったら、それは平成12年3月分に充当されることになります。むろんその結果としてAさんは平成17年2月分の管理費を滞納していることになります。

2月に払った分は平成13年の滞納分に充当されることになります。こうすると時効にかかる可能性の高い古い時期の滞納分から支払いを受けたことに出来るので非常に便利です。

仮に、このケースで充当について規約等で定めていなかったらどうなるでしょうか?この場合は一般法である民法が適用されます。民法では債務について当事者間に充当の合意がない場合は、当事者の一方が充当の指定をできますが、第1次的な決定権は債務者(この場合はAさん)にあります。したがって、Aさんが何らの意思表示をしなければ管理組合の方でAさんに対して1月末に支払ってもらった分は平成12年3月分に充当した旨の意思表示をすればいいことになりますが、Aさんが「17年1月末に支払ったのは17年2月分の管理費だ!」と充当の意思表示をすれば管理組合としては平成12年3月分の管理費に充当することができなくなってしますのです。

民法の充当の規定は当事者間の合意(契約)で排除することが出来ます。規約等で定めておく必要があるのはそのような意味です。

回答者:法律相談会 専門相談員 弁護士・石川貴康
(2005年1月号掲載)