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マンション共用施設のフィットネスやサウナなどの利用に刺青のある入居者の使用を禁止することに問題はあるか?(2017年11月掲載)


私が管理組合の理事長をつとめるマンションには、共用施設(共用部分)として、トレーニングルームがあり、フィットネスやサウナなどの共用施設が設置されています。これまで、入居者であれば自由に使用できるものとしていました。今回、警察署から暴力団排除の指導を受けたことをきっかけに、刺青のある入居者に対しては、使用を禁止する旨の規約や使用細則の改定を行うことになりました。問題ありませんか。




 昨今、暴力団を排除するための法規制が強化されており、マンション標準管理規約においても、近時の改正にて、暴力団員の排除の規定が置かれるに至りました(19条の2)。そうした中、もともと自由に共用施設を使用できていたにもかかわらず、刺青を入れているというだけの理由で、共用施設であるトレーニングルームから閉め出す規約等の改定が違法なのか、また合法として、一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべき規約の変更として、その人の承諾が必要なのか(区分所有法31条)が問題となります。
 類似の事例が争われた判例として、東京地裁判決平成23年8月23日(判例秘書登載)があります。判例は、「日本文化の中では、刺青は単なるファッションではなく、一般市民の中には、反社会的勢力との関係を疑い、畏怖を感じる者も少なからず存在することは明白である。特に、デザイン、色合い及び大きさなどに照らし、著しい畏怖感、嫌悪感を抱く者がいることが容易に想定できる。公衆浴場や民営プールなどにおいて、当然のように刺青をした者の入場を制限していることからも、一般市民の中で刺青をした者は異端の存在として社会的差別を受け、かつ、その社会的差別は一般市民の中で許容されているのが実情である。人は生まれながらして刺青をしているわけではなく、その後の人生の中で自らの意思で刺青を施すものであるから、刺青をする者は、その後の人生の中で刺青をすることによりなされる社会的差別を受忍する義務があると言うべきである。以上から、刺青の有無により区別を設ける本件管理規約の改正がなされたことを直ちに違法と認めることはできない。」「(区分所有法31条の)「特別の影響を及ぼすべきとき」とは、規約の設定、変更等の必要性及び合理性とこれによって一部の区分所有者が受ける不利益とを比較衡量し、当該区分所有関係の実態に照らして、その不利益が区分所有者の受忍すべき限度を超えると認められる場合を指し、前記のとおり、本件管理規約の改正により…受忍限度を超えたものと認めることはできないので、本件管理規約の改正にあたり、…同意は不要である。」としました。さらに、刺青の肌を晒すことのないフィットネスの入室を禁止することも、「フィットネスの利用の際にレオタードの種類などにより他者に刺青が見えたり、付随して利用されるロッカーの使用の際に刺青が他者に見えたりすることも想定されるので、一律禁止の本件管理規約の改正が直ちに違法であるとは言い切れない。」としました。
 現時点では、刺青に対する判例のような認識が一般的かもしれません。しかし、刺青(タトゥ)に対する認識は各文化圏で異なります。外国人が相当数居住するマンション等では、一定の配慮も必要になると思われます。



回答者:法律相談会 専門相談員 弁護士・内藤 太郎
(2017年11月号掲載)