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管理費等の時効期間についての最高裁判所の判断は?(2) (2004年9月号掲載)

Q.

最近管理費等の時効期間について最高裁判所の判断が出たと聞きました。これについて教えてください。



A.

前回管理費等の時効期間は10年ではなく5年とする最高裁判所の判決が出たことを説明しました。今回から数回に分けて時効の完成を防ぐ手段としての時効の中断について簡単に説明します。

時効の中断とは一定の事情が発生したことを理由にそれまでの時効期間の進行を無意味にすることです。時効が中断されると、時効期間はゼロからスタートすることになります。

時効期間が完成する前に時効中断の手続を取れば、不誠実な滞納者から時効消滅を主張することを防ぐことが出来ます。では、どうすれば、時効を中断させることが出来るのでしょうか。民法は147条で時効中断事由として「請求」「差押、仮差押又は仮処分」「承認」の3類型を規定しています。

まず「請求」について説明します。民法は「請求」の態様して

  1. 裁判上の請求
  2. 支払督促
  3. 和解のための呼出・任意出頭
  4. 破産手続参加
  5. 催告
を規定しています。(2)と(3)は省略します。(4)は例えば滞納者が破産したときに裁判所に滞納管理費について債権届け出を行うことです。特に重要なのは(1)と(5)ですが、今回は(1)について説明します。

裁判上の請求というのは簡単に言ってしまえば民事上の訴えを裁判所に提起することです。この場合訴えを提起した時点で時効が中断します。そして、管理費の請求を認める判決が確定した段階で、その時点から新たな時効期間が進行します。

そうすると管理組合としては、滞納管理費が時効で消滅しそうになったら、とりあえず訴訟を提起すれば良いことになります。少なくとも、5年近く継続的に管理費等を滞納していれば、それなりの金額になるはずですから、訴訟を提起しても費用倒れになることは少ないはずです。

一旦訴訟を提起して、裁判所から判決をもらえば、その判決に基づく請求権の時効期間は5年ではなくて、一般的な債権の時効期間と同じ10年になります。

なお、裁判を提起しても途中で訴えを取り下げたり、請求が認められなければ時効中断の効力は生じません。

回答者:法律相談会 専門相談員 弁護士・石川貴康
(2004年9月号掲載)