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民泊禁止の規約改正は3月までに行ってほうがよいのか?(2018年1月掲載)


私達のマンションの管理規約は標準管理規約に依拠しています。所謂民泊については不特定多数の人が出入りすることになり、マンションの平穏が害されることになるので禁止したいと思います。これから規約の改正作業を始めることになりますが、民泊の届出は平成30年3月から始まると聞きました。その前に規約を改正しないと民泊を禁止することは出来ないのでしょうか。




 訪日外国人が急増するのに伴って、拡大していた民泊サービスについてその健全な普及を図るために住宅宿泊事業法(以下「民泊新法」と呼びます)が制定されました。民泊新法は平成30年6月15日から施行されますが、それに先立つ事前届出・登録は平成30年3月15日から開始されるようです。民泊新法では民泊サービスを行おうとする者は都道府県への届出が必要です。民泊新法では、一定の要件が義務づけられていますが、届出制をとっているので要件を全て充足していれば原則としてマンションの一室を利用した民泊サービスを行うことができることになります。
 ところで、標準管理規約に依拠しているマンションであれば「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」という規定が置いてあると思います。
 標準管理規約のコメントには「住居としての使用は、専ら居住者の生活の本拠があるか否かによって判断する。したがって利用方法は生活の本拠であるために必要な平穏さを有することを要する」と記載されています。
 この趣旨からすれば、区分所有者が、当該部分を居住用借家として賃貸することは許されますが、ホテルの部屋のように不特定多数の者に対して賃貸する形態の民泊は規約違反として許されないと考えることができます。
 民泊新法は民泊サービスの形態として「家主居住型」と「家主不在型」に分けられますが、家主不在型の民泊形態は、標準管理規約でも禁止されていると解釈することは可能であるというのが筆者の個人的な見解です。
 しかし、家主居住型の民泊(例えば、組合員が住居として使用しつつ、居室の一部を民泊に提供する)形態は、標準管理規約のような規定で禁止されていると解釈することは困難であると思います(宿泊者が騒音を出したり、ゴミ出しのルールを無視するなどすれば「共同の利益に反する行為」として差し止め等の法的手段をとりうる場合はありえます)。
 いずれにしても、民泊サービスは不特定多数の者を相手とするのでマンションの平穏を害する可能性があるとして、禁止するのであれば、そのことを規約で明確に定めることが望ましいでしょう。
 民泊を禁止する場合の管理規約の規定案については国土交通省のホームページに掲載されているので参考にして下さい。
 なお、禁止する旨の規約改正を行う場合は施行される前に改正することが望ましいですが、予め民泊を禁止する旨の規約改正を行うことを区分所有者に対して周知しておけば(この周知は届出が始まる3月15日より前が望ましい)、規約改正を可決する総会が施行日後になっても民泊を禁止する規約の効力は認められるというのが筆者の個人的な見解ですが、この点は区分所有法31条1項の「特別の影響を及ぼす」場合に該当するとして、仮に民泊を行っている区分所有者がいた場合にその者の「承諾」が必要となるという見解もあることは留意して下さい。



回答者:NPO日住協協力技術者 弁護士 石川 貴康
(2018年1月号掲載)