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区分所有法の一部改正。管理組合の日常的な業務で影響を受ける部分は?(1) (2004年1月号掲載)

Q.

最近区分所有法が一部改正されたとの話を聞きました。管理組合の日常的な業務で影響を受ける部分があれば、教えてください。



A.

区分所有法の一部改正が平成14年12月4日に成立して、平成15年6月1日から施行されています。改正点はいくつかあるのですが、管理組合の業務との関係で重要な点の1つが、共用部分の変更の要件です。

「共用部分」の変更について改正前の区分所有法17条(便宜上「旧法」と呼びます)は「共用部分の変更は(改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しないものを除く)区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。」と規定していましたが、今回の改正(便宜上「新法」と呼びます)で17条は「共有部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く)は区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。」とされました。

旧法では改良を目的として、かつ著しく多額の費用がかからない場合は普通決議(過半数の賛成)で出来ることになっていましたが、逆に著しく多額の費用がかかる場合は特別決議(4分の3以上の賛成)が必要となっていました。

新法ではこの「著しく多額」との要件が削除されています。つまり新法では「形状又は効用に著しい変更」がなければ「著しく多額の費用」がかかっても普通決議(過半数の賛成)で出来ることになります。

この違いが端的にあらわれるのが所謂「大規模修繕」です。外壁や屋上防水の大規模修繕は通常はかなりの費用がかかるので旧法では特別決議(4分の3以上賛成)が必要になることが多かったと思いますが、大規模修繕は一般的に共用部分の形状や効用に著しい変更をきたすものではないので、著しく多額の費用がかかることになっても普通決議で出来ることになります。

ところで、多くのマンションでは中高層共同住宅標準管理規約に依拠して規約を作成していると思います。標準管理規約の45条では敷地及び共用部分等の変更(改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しないものを除く)は組合員総数及び議決権総数の4分の3以上で決する旨規定しています。

この規約を改正しないと新法が出来ても、大規模修繕を普通決議で行うことは出来ないとも思えます。そして、規約の改正には特別決議(4分の3以上の賛成)が必要となります。

しかし、標準管理規約は旧法の17条を確認した規定と解されます。極論すれば共用部分の変更は区分所有法と同じ要件で行うことが、区分所有者の意思であると理解できます。とすれば、区分所有法が改正されて、共用部分の変更の要件が変われば、区分所有者の意思もそれ(新法)に従うとのするのが合理的な考えであると思います。したがって、新法施行後は標準管理規約に依拠した規約を変更しなくても、普通決議で大規模修繕を行うことは可能であると思います。

もっとも、余計な疑問を発生させないために規約を新法に合わせて改正することが望ましいことは言うまでもありません。

回答者:法律相談会 専門相談員 弁護士・石川貴康
(2004年1月号掲載)