マンション緑地の管理とリニューアル

9.大規模マンションの緑のリニューアル

今回は大規模なマンションにおける緑のリニューアルについて、その課題や今後の方向、事例などを織り交ぜてご紹介します。

◆超高層マンションの課題は地域の問題

都市部の超高層マンションは、環境共生を謳い文句に、建物外構を大規模に緑化したり、将来大木になる樹木をたくさん植栽したりすることが少なくありません。 「大きな建築物には大きな緑を」と計画は進められますが、樹木の生長とともにその大きな緑は日照条件を大きく変え、樹下の植物たちは衰退の一途を辿ります。その結果、地際の印象を「荒れた」ものにし、ランドマークのはずのタワーマンションが、緑の荒廃により地域の「物騒な場所」に変わってしまうことがあります。 でも安心して下さい。外構の殆どが共用部であるタワーマンションでは、居住者の緑に対する意識は高く、合意形成も比較的取りやすいことから、緑に対する共通意識を持って計画的な維持管理が行われれば、安全で美しい空間が保たれます。生長を続ける植物たちとそこに住み続ける居住者のためにも、大きな視野に立った緑の再生計画が大切です。

◆リニューアルの目的

築35年を迎えた日本初のタワーマンションで、二回目の大規模修繕が行われました。特別な白をまとった「白亜の塔」は、当初の白よりも白く、異彩を放っています。今回の大規模修繕の目的はグレードアップ、資産価値を高めることです。 タワーマンションの足元の緑については、大径木の伐採と土壌改良などが行われ、日照や地力が改善されました。また歓待空間としての庭の再生や植物の更新等により、イメージアップが施されました。空間の高質化を持続させるための緑のリニューアルが実施されたのです。事実、この戦略的ともいえる大規模修繕により、資産価値は更なる高みへと登り続けるようです。

日照不足かつ排水不良
日照不足かつ排水不良

◆増築とリニューアル

広場や緑地の多い大規模な集合住宅では、分譲を目的とした超高層棟の増築が計画されています。大規模修繕に要する資金の一部を分譲収入により確保しようとする試みです。 緑地や広場の再整備、駐車場の立体化など綿密な計画が必要です。また、特例措置等を得るための自治体との協議やコンサルタントの選定など、合意形成を得るまでは長い道のりです。一つコミュニティを形成する集合住宅では、高齢化が進む中、大変有効な手法です。若い世代が入居することにより、子供たちの歓声が再び駆け巡れば地域の活性化にもきっとつながることでしょう。 高齢化が進み時間的余裕がない場合は、住棟間の引越はいかがでしょう。特にエレベーターのない住棟では、最上階のお年寄りが地上階に移り住むことで簡易な工事でバリアフリーを実現できます。エレベーター棟の建築コストや失われる緑地のことを考えれば、一考の価値ありです。

芝生広場が新規分譲
芝生広場が新規分譲

((財)都市緑化技術開発機構 造園新領域開発共同研究会 ソフト技術開発部会)

集合住宅管理新聞「アメニティ」300号(2007年9月)掲載