マンション緑地の管理とリニューアル

10.小規模団地の「緑」のリニューアル

◆小規模団地の植栽

集合住宅の植栽計画においては、居住者の生活の質を高める役割に加え、周辺との調和も重要です。内部から見える景観、外部から見える景観、そして機能性も大切です。 しかし、集合住宅の出入口周辺部などは、物置や自転車置場、地下埋設管などがあり、植栽の空間が狭くなりがちです。特に小規模団地においては、非常に狭小な植栽空間が見られます。 緑豊かな潤いある生活空間のイメージを求め、樹木を集中して密に植える傾向があります。 竣工当初はとても見栄えがしますが、数年後には繁茂し過ぎて荒廃した印象を与えてしまうことがあります。また、管理作業も行いにくく、その結果、住民にとって大変迷惑な存在になっていることがあります。 南青山の中古マンションを購入された方から相談を受けたことがありました。 このマンションの専用庭園は、入居世帯が各自で手入れをすることになっていましたが、2年間手つかずの状態であったことから庭園は荒廃し、チャドクガの被害や蚊の異常発生が起こっていました。 枝葉が茂り過ぎた樹木は、通気性が悪く湿気を溜めてしまいます。また、落葉も堆積し、側溝や集水桝に沈殿することで、虫たちが好むジメジメとした環境が整い、病虫害発生の原因ともなります。 改善策として、一つは害虫の休眠期にあたる冬期に落葉を除去し、害虫の棲家をなくすことです。二つ目は、通気性を高めるために、樹木の剪定や刈込みを行うことです。 適切な植栽管理を行えば、病害虫の発生を抑制させますし、健全に生育した樹木による美観を得ることができるのです。

2年間手付かずの状態で庭園は荒廃(施工前)
2年間手付かずの状態で庭園は荒廃(施工前)

◆リニューアルに際して

小規模団地では、周辺住居と隣接している場合も多く、このような問題は、居住者のみならず、近隣とのトラブルのもとにもなりかねません。 緑のリニューアルに際し、景観性と機能性を確保するために、植栽密度(面積当たりの本数)を再検討してみることが必要です。 植栽の過密な状態を解消するだけで、管理のための動線が確保され、管理が適切に行えるようになります。 その際、樹種の変更を検討するのも有効です。病害虫対策は早期発見が大切ですが、まず発生しにくい環境を整えることが最良です。 緑のリニューアルにより、のびのびと生育しメリハリの効いた植栽は、生活空間に美しさと潤いを与え、心落ち着く憩いの場をもたらしてくれるはずです。

過密を解消し景観性と機能性を確保(施工後)
過密を解消し景観性と機能性を確保(施工後)

((財)都市緑化技術開発機構 造園新領域開発共同研究会 ソフト技術開発部会)

集合住宅管理新聞「アメニティ」301号(2007年10月)掲載