マンション緑地の管理とリニューアル

12.(最終回)これからのマンション緑地のあり方(まとめ)

最終回にあたり、マンションの歴史について少し振返ってみます。日本の共同住宅の歴史は、江戸時代あるいは平安時代の長屋にまで遡るという学者もいます。明治から大正にかけて欧米の影響を受け、アパートと呼ばれる建物が現れました。わが国初の鉄筋コンクリート構造の共同住宅は、大正5年長崎県の端島(通称:軍艦島)に建てられた7階建の職員住宅だそうです。一般の住宅としては、大正12年頃の横浜市営中村町共同住宅や東京市営古石場住宅が始まりといわれています。その後、関東大震災の復興住宅として「同潤会アパート」が建設され、昭和30年には日本住宅公団が設立。千里ニュータウン、多摩ニュータウンなどが開発され、昭和40年代以降全国的な住宅ラッシュとなりました。
共同住宅の庭に関しては、昭和30年代に専用庭付き低層集合住宅(テラスハウス)の建設が始まりましたが、オイルショック等を経て管理が容易な共用庭を取入れたタウンハウスが普及し、緑の共同空間が演出されるようになりました。  

ウイーンで人気のマンション
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“緑”に関しては、皆さんの関心も高く様々なご意見をお持ちのことと思います。皆様にご協力いただいたアンケート調査や現地調査などを通し、そのことに敬服いたしました。多くの方が問題にされているのは、樹木が大きくなりすぎて日当たりや風通しが悪い、鬱蒼としていることから害虫が発生する、死角が多く防犯上危険であるなどでした。第3回(本紙294号)でも記載したように、マンションが竣工した時はほどよい配置や量だった樹木も、年月を経て成長します。毎年、お手入れをされていても年間の維持管理費の制約などもあり、気がついたときには緑の“大規模修繕”を行わなければならないことがあります。“生きているものを殺すのはかわいそう”と思われることもわかりますが、大きくなり過ぎたものはしっかり剪定し、数年かけて樹形を再生させるとともに、本数が多い場合は移植や伐採により間引くことが早期の問題解決につながります。
“緑のリニューアル”を行うことによって、マンションが竣工した当時とは違った風格のある緑豊かな空間に再生することができます。第3回・第7回でも記載したように、単年でリニューアルするばかりでなく建物の長期修繕計画のように、数年かけて“緑のリニューアル”を行うことを考えてみてはいかがでしょうか。今の予算に少し上乗せして、長期計画を立てるとともに、技術と信頼のある造園会社に依頼すれば、きっとすばらしい緑の空間になります。そして、お住まいのマンションの価値も上がると思います。
今回をもって「マンション緑地の管理とリニューアル」の連載は終わりとなりますが、緑に興味を持たれたら、是非お住まいのマンションの“植栽委員会”などに参加してみて下さい。皆さんにできることはたくさんあります(第5回参照)。そして、私たちが作成した「マンションのみどりQ&A」(当機構ホームページからダウンロードできます)をご一読頂き、それでもお困りの場合には是非ご相談下さい。
ヒートアイランド対策や地球温暖化対策として、都市の緑の果たす役割が大きくなっています。“緑のリニューアル”によって、皆さんのマンションがすばらしい住まいになるとともに、地球規模の環境問題にも貢献する緑となることを心より願っております。1年間お読み頂きありがとうございました。((財)都市緑化技術開発機構 造園新領域開発共同研究会 ソフト技術研究部会)

集合住宅管理新聞「アメニティ」303号(2007年12月)掲載